研究課題
研究活動スタート支援
本研究では視覚障害者の自宅に着目し、行為と環境の関係から、空間認知の特性を明らかにした。特に天板上の環境と行為に着目すると、視覚障害者は触覚により身の回りの空間を把握するため、机の縁沿いに物を並べる、お盆の上で食事をとることで食器の置かれた領域を明確化するなどの工夫を行なっていた。また、行為中に変化する環境を再認するために、物の配置を固定し記憶を重視する方法と、高頻度で接触し逐次的に環境を把握する方法の2種類が見られた。
建築計画
これまでの視覚障害者の空間認知に関する研究は、公共空間での歩行が対象とされる場合が多く、白杖や周囲の音環境の利用方法や、案内アプリケーションの効果などが検証されてきた。一方、身の回りの生活空間における空間認知は、あまり着目されていなかった。本研究の学術的意義は、視覚障害者の自宅を対象に、身の回りの生活空間における空間認知の実態を明らかにしたことである。こうした知見は、中途視覚障害者が自宅の空間を構築し直す際の手がかりや、生活行為のリハビリテーションの手がかりとなる社会的意義も有している。