研究課題/領域番号 |
21K20468
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研究機関 | 金沢星稜大学 |
研究代表者 |
石川 美澄 金沢星稜大学, 経済学部, 准教授 (50733672)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | まちの居場所 / 二拠点居住 / 二拠点生活 / 複数拠点生活 / ポジティブな移動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、①高頻度に生活拠点を移す二拠点居住者・多拠点居住者および季節労働者、②生活拠点はほぼ変わらないものの頻繁に旅行に出かける国内旅行者を調査対象としたヒアリング調査を通して、不確実性の高い移動を伴う彼・彼女らの「まちの居場所」の獲得プロセスを解明し、その場所の特徴を明らかにするものである。 二拠点居住や多拠点居住、ワーケーションなど新しい生活様式が浸透しつつある我が国において、自らの意思でポジティブに移動する人びとの居場所の実態を把握することは、建築計画やまちづくり、観光まちづくりに新たな知見を提示できると思われる。 1年目となる2021年度は、関連する文献収集と整理、二拠点居住者・多拠点居住者ならびに頻繁に旅行に出かける国内旅行者に対する「まちの居場所」に関するヒアリング調査の実施、Webアンケート調査の実施に向けた準備を行なった。文献収集・整理では、二地域居住/二拠点生活、多拠点居住/多拠点生活、アドレスホッピング等の類似する用語を整理した。また、「まち」や「居場所」、「地域愛着」に関する先行研究の論点の整理を行なった。ヒアリング調査では、二拠点居住者(2人)、多拠点居住者(2人)の協力を得て、ライフスタイルやワークスタイルについて、ならびに二拠点居住等を始めたきっかけ、居場所と感じる場所・施設等についてをヒアリング調査を実施した。また、頻繁に旅行に出かける国内旅行者(1人)の協力を得て、同様の調査を行った。これらの調査結果から、彼らの居場所に対する考え方に加えて、「まち」や「地域」に対する考え方についてもさらなる調査・分析が必要だということが明らかになった。なお、この結果をもとに、当初の計画にはなかったWebアンケート調査の計画を立て、調査票を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年の夏秋頃には、新型コロナウイルスの流行も落ち着き、実地調査も容易になると期待していたが、状況は大きくは変わらなかった。そのため、研究計画時に予定していた「調査協力者のまちの居場所を訪ね、その場所の特徴を記録・記述し分析する」という実地調査は実施できなかった。また、季節労働者に対するヒアリング調査については、調査協力が思うように得られず、実施できなかった。なお、二拠点居住者(2人)と多拠点居住者(2人)に対するヒアリング調査を通して、複数拠点で暮らす人々の「まちの居場所」や「まち」に対する捉え方について新たな疑問が浮かび上がったため、調査計画を見直しを行った。
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今後の研究の推進方策 |
今年度のヒアリング調査を通して、二拠点居住者や多拠点居住者の「まちの居場所」や「まち」に対する捉え方について、より丁寧に分析していく必要性を感じた。そのため、当初の計画を若干変更し、今後Webアンケート調査を実施する予定である。 2022年度は、二拠点居住者らに対するWebアンケート調査を実行し、得られたデータの分析・考察を行う。そして、彼らの「まちの居場所」等の特性に関する成果を学会等で発表する。また、季節労働者に対するヒアリング調査については、夏のリゾート地や農山漁村地域において調査協力者を募る準備を進めていく。なお、研究成果は、日本観光研究学会や日本都市計画学会等の関連学会で発表し、さまざまな専門家から指摘・意見を受ける。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症拡大が続き、計画していた現地調査が実施できなかったため。また、現地で実施する予定だったヒアリング調査をオンラインでの聞き取りに変更したため。今後の使用計画については、追加の文献調査に必要な書籍購入とヒアリング調査、二拠点居住者や高頻度旅行者に対するWebアンケート調査を行うための計画を立てている。また、感染症拡大という状況が落ち着き次第、今年度実施できなかった現地調査を実施する予定である。
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