研究課題/領域番号 |
21K20469
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
今川 光 大阪工業大学, 工学部, 助教 (60910867)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 居住者行動 / 適応的快適性 / 住宅 / フィールド調査 / 確率モデル |
研究実績の概要 |
2021年度は居住者行動モデルの開発を行うために、関西地域の伝統的住宅1世帯を含む、計6世帯の住宅でフィールド調査を実施し、データの収集を6月より実施した。得られたデータの内、2022年2月までのデータを用いて分析した。窓開放及びエアコン冷暖房使用の割合を各月で算出すると、年間を通して大きく変動していたことが明らかとなった。また、窓開放とエアコン冷房使用の同時実施割合は9月の約0.05が最大であり、エアコン冷房単独使用の約0.40よりも低かった。感染症流行下であっても調査対象住宅では同時実施しない傾向であったことを意味する。得られたデータを用いて、温度変動の指向性を考慮しない先行手法による、窓開放とエアコン冷暖房使用のモデル化を行った。また、各月の居住者行動割合と月平均外気温の関係をみたところ、本調査データでは6月と9月で同等の月平均外気温となり、その時のエアコン冷房使用割合のみ、9月の方が6月よりも高いことが明らかとなった。そこで、6月から8月を「気温上昇期」、8月から翌年2月を「気温低下期」と定義して、外気温2Kごとにエアコン冷房使用割合を算出したところ、同外気温帯において両期間での有意な差は得られなかった。これについて、10月の外気温分布が幅広く、9月の外気温帯と広く重なっていたため、9月のエアコン冷房使用割合の計算上の減少影響があったと考えられる。 なお、これらの成果を2022年度の日本建築学会関西支部大会および日本建築学会大会の梗概として投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現段階のデータを用いて、居住者行動モデルの算出を行い、エアコン冷房使用については季節変動の指向性による使用割合の差異が確認できたためである。また、これらの成果を、日本建築学会の大会発表のための梗概2報の投稿に至った。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度では次のことを実施する。(1)引き続き、住宅調査を実施し、調査データを増やす。これには、3~6月の春季頃(気温上昇期)のデータも含まれる。(2)気温上昇期のデータが追加されたデータセットを用いて、再度、各月および各外気温帯ごとの居住者行動割合の算出を行い、同外気温帯での居住者行動割合を比較する。(3)室内気温や室内外湿度、CO2濃度などの測定値の要因も考慮するため、重回帰分析を用いて居住者行動への各要因からの影響度合いを検討する。必要に応じて、居住者行動モデルの算出時の説明変数として用いる。(4)扇風機使用および着衣量についても、季節遷移の指向性を考慮した比較を行う。(5)居住者行動モデルにおいて、気温上昇期/低下期の連続性をどのように表現するかを検討し、季節遷移の指向性をを考慮した居住者行動モデルを開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に必要であったPC購入の一部を学内予算使用で購入したため、次年度への繰越が発生した。2022年度では、日本建築学会で本研究課題に関連する発表を行うための参加登録費と研究室環境の変化で必要になったPC1台の購入に割り当てる予定である。
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