研究課題/領域番号 |
21K20469
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研究機関 | 大阪工業大学 |
研究代表者 |
今川 光 大阪工業大学, 工学部, 助教 (60910867)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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キーワード | 居住者行動 / 適応的快適性 / 住宅 / フィールド調査 / 確率モデル |
研究実績の概要 |
2022年度は、調査期間にばらつきがあるものの関西地域の住宅11世帯でフィールド調査を実施し、データの収集を行った。 2022年度は窓開閉やエアコン冷暖房使用と同様に身近な居住者行動である着衣量についての分析を行った。着衣量は年間を通して変動する傾向がみられ、着衣量のばらつきは、夏季は狭く冬季は広い傾向が得られた。また、室内気温および外気温を用いた一次関数による着衣量モデルの算出された。ただし、室内気温が25℃以上もしくは外気温が21℃以上では着衣量が約0.35cloで一定の傾向も得られており、今後、ロジスティック曲線を用いた着衣量モデルの算出も行う必要が考えられた。 また、室内外物理環境値と居住者快適性申告、居住者行動状態(エアコン冷房・暖房、扇風機、窓)を説明変数とした重回帰分析による着衣量モデルの算出を行った。ここから、外気温と室内外相対湿度の他、エアコン暖房の使用状況が説明変数として抽出された。冬季の着衣量のばらつきとエアコン暖房使用状況には対応関係がある可能性が考えられたため、本課題の季節遷移を考慮した居住者行動モデルの開発おいても冬季の着衣量の差異も検討する必要性を示唆していると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
・データの収集件数が2023年2月の時点で約2500回答であり、これは先行研究の約36000回答と比較すると少ない。居住者行動モデルの開発時に、夏季や冬季の室内外気温帯のデータが少なくなる他、季節の上昇期と下降期にデータ分割を行う時も各気温帯のモデル検討のためのデータ数が十分確保できない。 ・2022年12月までのデータ入力が完了しているものの、それ以降のデータ入力が完了していない。
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今後の研究の推進方策 |
・2023年現在、4世帯のフィールド調査を継続している他、調査協力住宅を増やすことでデータ収集を継続する。また、データ入力および整理について、2023年度も引き続き進める。 ・2023年度のデータも含め、改めて窓開閉およびエアコン冷暖房使用、着衣量の居住者行動モデルの算出を進める。 ・研究課題のポイントの1つである、気温上昇期と下降期のモデルの接続方法についても検討を進める必要がある。モデルが切り替わる閾値を重回帰分析を用いて検討したり、夏期および冬期の居住者行動割合からモデルの接続可能性を検討することで、気温上昇期と下降期のモデル統合を目指す。 ・上昇期および下降期の定義については、室内外温熱環境の時系列分析などを用いて再検討し、居住者行動モデルの開発に反映させたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度に投稿する予定であった査読雑誌論文の執筆が遅れており、その未使用金額が発生した。また、学会発表の登録費については学内予算の代用によって、未使用分が発生した。 2023年度は、調査対象住宅を増やすための測定機器や分析協力者の統計解析ソフトウェアなどの購入予算を計上する。また、分析結果をもとにした学会発表の登録費用や査読論文などの投稿費に利用する。
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