季節遷移に応じた着衣量のモデル化について検討したところ、5月~6月よりも9月~10月の方が着衣量が低い傾向であった。外気温のみを説明変数としたロジスティック関数による着衣量モデルを気温上昇期と下降期で比較したところ、有意な差がみられなかった。一方で、重回帰分析を用いたところ、気温上昇期ではエアコン暖房と窓開放、気温低下期ではエアコン暖房とエアコン冷房が着衣量に影響を与え、特にエアコン暖房の影響力が相対的に大きいことが明らかとなった。着衣量モデルについては、他の居住者行動の状態も含めて季節遷移に応じた環境調整行動を開発する必要性が考えられた。 研究期間を通して、関西地域の住宅18世帯を対象にフィールド調査を実施し、居住者行動の状態と熱的快適性、温熱物理環境測定値のデータ収集を行った。また、窓開放、エアコン冷暖房、着衣量について、季節遷移に応じた居住者行動モデルの検討を行った。これにより、エアコン冷房と着衣量については季節遷移に応じた居住者行動モデルの開発が必要にある可能性が示され、モデル開発を行った。また、これらの可能性は夏季や冬季よりも春季・秋季に対応する時期で現れた。これらの季節において、パッシブな採涼行動を上手に取り入れることで、省エネルギーへ貢献できる可能性があると考える。本研究で得られた知見も用いて、引き続き、居住者行動の分析やモデル開発を通した適応的快適性のための基礎資料の作成を行いたい。
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