研究課題/領域番号 |
21K20474
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研究機関 | 国立研究開発法人建築研究所 |
研究代表者 |
的場 萌子 国立研究開発法人建築研究所, 構造研究グループ, 研究員 (30913579)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 液状化地盤 / 遠心載荷実験 |
研究実績の概要 |
上部構造物・鋼管杭基礎-飽和地盤系の縮小模型試験体を用いた既往の遠心載荷実験では,一回の大地震により地盤が液状化した際に,鋼管杭が崩壊して上部構造物が倒壊する現象が示されており,杭の終局メカニズムが明らかにされている。一方,複数回大地震動により杭基礎が損傷する場合は,地震動により液状化時の地盤性状が刻一刻と変化するため,構造物と地盤の動的相互作用の変化を考慮する必要がある。既往の杭基礎の遠心載荷実験では,間隙水圧についての時間に関する相似則を合わせるため,水の代わりに粘性を調整したメチルセルロース溶液を用いているが,代替間隙水の粘性の温度依存性が及ぼす地盤の地震時挙動への影響はほとんど考慮されていない。 これを踏まえ本研究では,複数回地震動を受ける構造物-液状化地盤の動的相互作用を精緻に検討できる実験手法の開発のため,遠心力載荷実験装置を利用した実験を行い,飽和地盤の地震時挙動に及ぼすメチルセルロース溶液の粘性の温度依存性による影響を明らかにする。 本年度は,過去に実施した飽和地盤-上部構造物・杭基礎の遠心載荷実験結果を整理し,模型地盤作成時における間隙水の注水時間と飽和度,および地震動入力時の地盤内過剰間隙水圧比の応答性状について検討した。検討の結果,乾燥砂の堆積手法(空中落下法),間隙水の通水手法(炭酸ガス・真空置換法),代替間隙水であるメチルセルロース溶液の動粘度を同一とした場合,粘性調整時の水温・気温(湿度),溶液中のメチルセルロース量(濃度)が異なる条件で,地震動入力時における過剰間隙水圧比の応答性状に違いが見られた。一定の実験環境を維持することが厳しい場合は,実験時期(気温・水温)が異なると同一粘性を再現する際に必要なメチルセルロース量(濃度)が変化するため,地震時の飽和地盤の過剰間隙水圧比の応答性状が異なる可能性があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,過去に実施した飽和地盤-上部構造物・杭基礎の遠心載荷実験結果を整理し,模型地盤作成時における間隙水の注水時間と飽和度,および地震動入力時の地盤内過剰間隙水圧比の応答性状について検討した。乾燥砂の堆積手法(空中落下法),間隙水の通水手法(炭酸ガス・真空置換法),代替間隙水であるメチルセルロース溶液の動粘度を同一とし,溶液中のメチルセルロース量(濃度),粘性調整時の水温・気温(湿度),加振時の気温(湿度)をパラメータとした。その結果,粘性調整時の水温・気温(湿度),溶液中のメチルセルロース量(濃度)の違いが地震時の飽和地盤の過剰間隙水圧比の応答性状に影響を与えることが示唆された。以上を踏まえ,次年度に実施する遠心載荷実験試験体のパラメータを選定した。
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今後の研究の推進方策 |
建築研究所の二方向加力式遠心載荷実験装置の故障により,同装置は当面の間使用不可となったため,令和4年度の研究内容を以下のように変更する。令和3年度の検討より,屋内実験棟において模型地盤の飽和作業を実施した際に,同一手法により地盤を作成した場合でも飽和失敗となった試験体が見られたことから,その要因について精査する。具体的には,間隙水の動粘度を同一条件として,間隙水の注水速度や水温,メチルセルロース量(濃度)をパラメータとし,各項目と飽和度との関係を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症予防対策のため,予定していた所外実験を令和4年度に延期することとしたため,これに必要な物品費,旅費,人件費及び消耗品費等については令和4年度の執行予定としている。
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