研究課題/領域番号 |
21K20479
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宗岡 均 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (50908803)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 鉄鋼精錬 / 電気炉製鋼 / アークプラズマ / 窒素吸収 / 発光分光測定 |
研究実績の概要 |
今年度は、①実験系の構築、②室温での予備実験、③高温環境での溶鉄・アーク実験を実施した。 ①実験系として、横型の抵抗加熱炉内に、ガス制御・評価系、 アーク制御のための電気系・電極制御系、側面観察可能な光学測定系、試料採取機構等の全てを導入した独自の実験系を構築した。特に、坩堝の上部をカットし、表面張力で盛り上がった状態の溶鉄に炭素電極を近づけてアークを発生させることにより、溶鉄およびアークを側面観察可能な装置とすることができ、アーク内の反応場や輸送過程の評価が可能となった。このように、アークと溶鋼の相互作用について独自の観点で研究を実施する基盤を整えることができた。 ②室温での予備実験として、③の高温環境での実験と、炉内温度以外はほぼ同一の環境でアークを発生させ、分光測定実験を実施した。ガスとしては、アルゴンと窒素の混合ガスで実験を実施した。 ③アルゴン/窒素雰囲気において溶鉄を溶解し、溶鉄と上部の黒鉛電極の間にアークを発生させ、発光分光測定を実施した。発光分光測定ではバンドルファイバーを活用し、直径100~150ミクロン程度の領域を27点同時測定することができた。加えて、アークの写真撮影と分光測定を同期させることで、激しく動き回るアーク放電の領域と発光スペクトルを結びつけた評価が可能となり、アルゴン・窒素・鉄・カーボンなどの発光種の空間分布評価を実施した。ArやFe蒸気に由来する発光に加えて、窒素系の活性種として、NとCNの存在領域の差異(CNの方が放電空間全体に分布している)などを明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は主に実験系の構築および予備的な実験に取り組み、申請書に記載の通り遂行することができたため。実験系の構築として、具体的には、高温の電気炉内に、ガス制御・評価系、 アーク制御のための電気系・電極制御系、光学測定系、試料採取機構等の全てを導入した独自の実験系の構築が概ね完了し、来年度の本格的実験実施に向けた実験を開始することができた。 研究の対外的な発表としても、申請時の予定に沿った形で、前述の通り国内学会発表を1件実施した。具体的には、実験の初期段階の結果として、「電炉アークによる溶鉄への窒素吸収挙動解明に向けた溶鉄上のアーク・プラズマの測定」を日本鉄鋼協会において報告した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、1年目に構築した独自の実験系を活用し、申請時の予定通り分光測定・レーザー測定を活用してアーク評価、各種活性種のN吸収への寄与の明確化に取り組む。
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