| 研究課題/領域番号 |
21K20487
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| 研究機関 | 京都大学 |
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研究代表者 |
吉田 周平 京都大学, 工学研究科, 助教 (00911710)
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| 研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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| キーワード | ハイエントロピー合金 / 材料組織 / その場回折測定 / 透過電子顕微鏡 / ミディアムエントロピー合金 / 力学特性 |
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| 研究実績の概要 |
今年度は、まずはじめに巨大ひずみ加工と短時間の熱処理を組み合わせることで，超微細粒(UFG)組織を有するCoCrNiミディアムエントロピー合金(MEA)の試料を作製した．結晶中の格子欠陥は(S)TEMの回折コントラスト像，および高分解能像によって可視化することができる．引張変形を施した試料の変形組織を透過電子顕微鏡(TEM)を用いて観察し，それぞれの方位の結晶粒においてどのような種類の格子欠陥が生成し，それらが粒内でどのように分布しているかをメソ・原子スケールで調査した．その結果、UFG組織を有するCoCrNi MEAでは転位と幅の広い積層欠陥に加えて、変形初期から厚さ数ナノメートル程度の微細な変形双晶が変形初期から観察された。さらに今年度はSPring-8やJ-PARC等の加速器施設において室温引張変形中のその場Ｘ線・中性子回折測定を行い，変形中の回折プロファイルの変化を調べた。共同研究者が予定よりも多くのビームタイムを獲得したため，当初次年度に計画していた分のその場回折測定実験を前倒しで行い，今年度中に完了することが出来た．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画の通り，作製した試料の電子顕微鏡観察を行い、変形中にどのような格子欠陥が生成しているかを原子レベルで特定することが出来た．それに加えて，共同研究者が予定よりも多くのビームタイムを獲得したため，当初次年度に計画していた分のその場回折測定実験を前倒しで行い，今年度中に完了することが出来た．
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| 今後の研究の推進方策 |
次年度では、試料中で発達する変形組織の結晶方位依存性を詳細に調査し、変形組織発達に与える結晶粒界の影響を明らかにしていく。また、今年度その場回折測定によって得られた回折プロファイルに対して、理論モデルを適用することで、変形組織の発達を定量的に明らかにしていく。最後に実験によって得られたデータと，他のUFG純金属に関する文献の情報を比較することで，UFG組織を有するCoCrNi MEAがなぜ強度と延性を両立できるのかを定量的に明らかにしていく．得られた結果は、国際会議で発表するとともに、国際論文誌へも投稿する予定である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
今年度はコロナウイルスの影響により、3月に対面で予定されていた国内学会が急遽オンライン開催となったため、その旅費分およそ10万円が繰越となった。次年度においては繰越金を用いて実験消耗品を購入したり、論文の執筆状況によっては必要に応じて論文投稿料に充てるなどする予定である。
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