研究課題/領域番号 |
21K20494
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
松野 敬成 早稲田大学, 理工学術院, 講師(任期付) (80907098)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 結晶性シリカ / メソ多孔体 / シリカナノ粒子 / コロイド結晶 |
研究実績の概要 |
本研究の目的はAlドープにより固体酸性を有する結晶性メソポーラスシリカの合成手法を確立し、その触媒活性点の分析・評価を行うことである。 ゼオライトに代表される多孔質結晶性シリカは骨格の一部をAlやTiなどの金属元素で置換することで酸点が生成し、触媒活性を示すことから工業的に利用され、学術研究も幅広くなされている。一方で、細孔壁がシリカの結晶多形からなる多孔質結晶性シリカの合成例は極めて少数であり、酸点を導入して触媒活性を調査した報告は皆無である。したがって、細孔壁の結晶性が触媒活性に与える影響は未知であり、これを明らかにすることは学術・工業双方の観点から重要といえる。結晶性アルミノケイ酸塩であるゼオライトとの比較を考え、本研究ではドープ元素にAlを選択する。 本年度はAl含有メソポーラスシリカを調製し、その細孔壁を結晶化させることでAlドープ結晶性メソポーラスシリカの合成を試みた。これまでに開発したメソポーラスシリカの細孔壁を結晶化させる手法を適用して検討を行った結果、Al含有メソポーラスシリカを用いた場合でも、シリカの結晶多形である石英へと結晶化が可能であった。得られた結晶性メソポーラスシリカは元々の細孔構造を保持していることが確認された。以上の結果より、今年度の検討で目的物質が得られた可能性があるため、次年度では合成した結晶性メソポーラスシリカ中に存在するAlの化学状態に関する分析及び触媒特性評価を推進する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、本年度は結晶性メソポーラスシリカの合成に関して検討を行った。その結果、細孔壁がアモルファスシリカからなるAl含有メソポーラスシリカを用いた場合でも細孔壁の結晶化が可能であるという知見を得た。
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今後の研究の推進方策 |
得られた結晶性メソポーラスシリカ中のAlの分析及び固体酸性の評価を進める。分析は固体NMRや電子顕微鏡観察を中心に実施し、Alの化学状態や細孔壁の結晶性を調査する。また、固体酸性の評価は昇温脱離法による測定や、触媒反応を実施することを予定している。また、石英以外にもクリストバライトからなるメソポーラスシリカを合成することが可能であり、メソポーラスシリカの細孔構造も複数の候補が考えられるため、分析・触媒活性評価の結果をフィードバックして結晶構造・細孔構造の検討も継続して行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究費に占める分析・評価の割合が大きいが、本年度は物質合成に注力したため比較的少額の支出となった。次年度では繰り越した研究費を使用して、合成した結晶性メソポーラスシリカの分析・触媒活性評価を推進する予定である。
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