研究実績の概要 |
分子指紋領域(500-1600cm-1)を分光する手法として、中赤外光源による吸収分光の他に近赤外、可視光源を用いたラマン分光も有力な手法の一つである。前年度に開発した1um帯で12fsという我々独自の超短パルスYbファイバーレーザーをさらに発展させた。具体的には2次高調波発生により超短パルスを保ったまま可視光領域にスペクトルを移しこれを励起光源、元の近赤外光源のスペクトル狭窄化と自作のファイバーアンプによる高強度のpsパルス光源を高い分解能を持つプローブ光源として、広帯域な非線形ラマン分光を行った。このレーザー技術と本研究室で元々開発していたタイムストレッチ分光という手法を組み合わせ、50MHzという圧倒的に高速な取得レートで200-1200cm-1の広帯域ラマン分光を実現する事が出来た。これは従来の最速のラマン分光手法と比べ500倍以上高速であり、分子の超高速ダイナミクスの解明や、イメージングの高速化、高解像度化に非常に大きな寄与をもたらすと考えられる。この成果は論文としてまとめ投稿済みである り、現在査読中である。Nakamura, Takuma, Kazuki Hashimoto, and Takuro Ideguchi. "Broadband coherent Raman scattering spectroscopy at 50,000,000 spectra/s." arXiv preprint arXiv:2304.10804 (2023).
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