研究課題
本課題は、高速FM-AFMにより雪氷結晶表面に存在する擬似液体層の観察を目指している。これには共振周波数が高くQ値も大きなフォースセンサを利用し、小振幅の安定撮像が重要である。そこで、本研究では、高速AFMのスキャナに、フォースセンサとして長さ伸長型水晶振動子センサ(LERセンサ、共振周波数: 1MHz)を搭載したプローブスキャン方式のAFMの開発を行った。前年度よりAFM本体を設計してきたが、本年度に検証・改良の上、加工業者に委託してAFM本体部品を作成し、研究室で組み立てた。また、研究協力先の大阪大学阿部真之教授のグループの支援を得て高速スキャナを新規作製し、前年度に試作したLERセンサ固定ジグを搭載した。ジグは機械的な固定と電気的配線を両立する必要があるが、出来る限り重量を軽くする必要がある。ジグ改良の結果、現状、スキャナの共振周波数が24 kHzで(ジグ搭載前は100 kHz)、250×250画素で1枚約3秒で撮像できる状態である。しかし、装置の安定性に課題があり対策も行っているが、調整に苦労している。そこで、フォースセンサにこれまで当研究室で実績がある音叉タイプの水晶振動子フォースセンサ(TFセンサ、共振周波数: 約32 kHz)の適用をプロトタイプ高速AFMで検討し、TFセンサの撮像速度の限界を調査した。TFセンサの1次共振の利用により400×400画素で最速1枚約5秒で撮像できるが、共振周波数が低いために画質は十分ではない。TFセンサの2次共振で高速化できないかも検証したが、限度があった。本スタート支援研究費のおかげにより、最低限の装置準備が整ったが、低温インキュベータの振動の影響等、安定性向上に課題が残っている。今後、振動抑制とセンサの動作の安定化により、LERセンサの振動振幅をÅレベルに低減することで擬似液体層観察を実施し、雪氷成長機構の解明に寄与したい。
(その他発表)・龍谷大学 龍谷エクステンションセンター主催 2022年度 第1回 REC BIZ-NET研究会「原子間力顕微鏡の基礎とその最新展開」発表者:宮戸祐治
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IEEE Transactions on Applied Superconductivity
巻: 33 ページ: 1~4
10.1109/TASC.2023.3235955