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2021 年度 実施状況報告書

体外式膜型人工肺(ECMO)を用いた移植臓器有効利用の研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K20510
研究機関旭川医科大学

研究代表者

大原 みずほ  旭川医科大学, 医学部, 特任助教 (80596304)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2023-03-31
キーワード心停止ドナー / 模型人工肺 / 臓器保存 / 虚血再灌流障害 / 肝移植
研究実績の概要

令和3年度第57回日本移植学会(東京)、第47回日本臓器保存生物医学会(東京)で発表した。以下、発表の概要である。
心停止ドナーは臓器提供者不足を解決する一つの方法である。我々は心停止したブタに体外式人工肺(VA-ECMO)を装着し、さらに摘出後、4時間の単純冷却保存および機械灌流保存を行ったので報告した。
(対象と方法)20Kgの雑種ブタを用い、全身麻酔下に動脈および中心静脈ラインを確保し、開腹して大動脈、下大静脈にそれぞれ14Frのカテーテルを挿入した。KCLで心停止させ45分後に1時間、22度の送血温でECMO(回路;セクセランN2、人工肺;HPO-06-CP、メラ、東京)を使用した。自己血を200ml輸血した。脱血は、400~500ml/minを目標とした。静脈血の酸素飽和度を確認しつつ酸素化をコントロールした。その後、単純冷却保存(CS)あるいは低温機械灌流保存(HMP)を4時間行い、ドナー血液を用いたisolated liver reperfusion systemで2時間再灌流それぞれを評価した。
(結果)ECMO中の血液PHは6,90前後、PaO2は470~53-mmHg,乳酸値は10~15mg/dlであった。ECMO後AST, LDHはそれぞれ52~106, 211~304IU/Lで著しい増加は見られなかった。保存後、自己血に夜再灌流1、2時間後のAST、LDHはそれぞれ287vs108,373vs175IU/L,703vs322,961vs508IU/Lと低温機械還流保存群が低値であった。
(結語)心停止ののちのECMO、および機械灌流保存方法の組み合わせは、機能評価と、良好な臓器保存状態を維持するために有用でであることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

心停止後45分の室温ECMOは1時間は安全に、かつ有効に働くことを確認した。さらに肝臓摘出後、単純冷却保存及び低温機械灌流保存4時間を行い、後者の方が自己血再灌流モデルにおいて有効であることを示し、日本移植学会、日本臓器保存生物医学会において発表した。
また、免染染色、電顕解析についても着手している。

今後の研究の推進方策

心停止ドナーに対して室温ECMOを用いることは、機能的回復をはかるという点は前年度に確認できたと考えているが、そのメカニズム、組織学的な検討は、現在進行中である。
一方、このような臓器を機械灌流保存で評価することが可能か、その評価が再灌流障害の程度と相関があるのかについて、臓器内温度分布の違い、ICG蛍光法などを用い、低温及び室温灌流保存で検討をしていく。

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公開日: 2022-12-28  

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