研究実績の概要 |
本研究課題では、金属イオンおよび有機配位子をフロー精密合成システムを駆使して配列させることで、従来までのフラスコ合成では実現不可能な分子集積およびそれに基づいた機能創出を目指す。更に、フロー精密合成が得意とするハイスループット合成と機械学習を始めとするマテリアルズインフォマティクスを統合することで、合理的かつ効率的に研究を推進し、機能性金属錯体材料の開発に向けた新しい設計指針を打ち立てる。 2022年度は、周期的な細孔を有する配位高分子に着目し、フロー精密合成システムを活用して合成を行った。特に、鉛二価イオンと6-ジブチルアミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオールから構成される一次元鉛二価配位高分子に着目し、フロー合成システムを用いて種々の流速で合成を試みた。走査型電子顕微鏡によりモルフォロジーの評価を行ったところ、流速が大きくなるに従って結晶サイズが増大していることが明らかになった。また、メタノール吸着測定を行ったところ、結晶サイズの違いを反映した吸着挙動の変化が確認され、フロー合成システムを活用することで配位高分子の吸着特性の制御に成功した。本研究結果は、機能性金属錯体の集積構造および機能制御の実現に向けた新しい戦略を提唱する。一連の研究成果は日本化学会春季年会において口頭発表を行い、現在論文を執筆中である。
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