分子内に2つの金属中心を内包したビスメタル錯体の合成を目指した。 現在まで、大量のエネルギーを必要とするハーバーボッシュ法がアンモニア合成に広く用いられている。しかしながら、エネルギー節約という観点から、温和な条件下でのアンモニア変換反応の開発は必須である。本研究計画では、新規な二核窒素チタン錯体を合成し、窒素の固定化触媒として展開する。一年目は反応性の高いアルキル基を有する①二核チタン錯体と②二核クロム錯体に焦点を当てて研究を行なった。 ①ビスチタン錯体の合成検討の合成検討 新規なビスメタル錯体を合成するため、様々なビスシクロペンタジエン配位子の合成を行い、塩素化チタンとのトランスメタレーション反応により、ビスシクロペンタジエニル基置換二核チタン錯体を合成、その後の塩素化、アルキル化反応による反応活性なメチル置換二核チタン錯体の合成検討を行った。ビスシクロペンタジエンのリチオ化後、ClTi(OiPr)3との反応により二つのチタン金属の導入に成功した。また、アルコキシ基のハロゲン化に際して、様々なハロゲン化剤を検討し、HClのジオキサン溶液により高収率でハロゲン化錯体が生成することを明らかにし、その後、MeMgClによるメチル化によりメチル基置換ビスチタン錯体(Me6Ti2[BisCp'])の合成単離に成功した。 ②ビスクロム錯体の合成検討 ①と同様に新規なビスクロム錯体を合成するため、様々なビスシクロペンタジエン配位子の合成を行い、二塩化クロムとのトランスメタレーション反応、その後のアルキル化反応による反応活性なメチル置換二核クロム錯体の合成検討を行った。ビスシクロペンタジエンのリチオ化後、二塩化クロム(CrCl2)との反応により二つのクロム金属の導入に成功した。その後、MeMgClによるメチル化によりメチル基置換ビスクロム錯体(Me2Cr2[BisCp'])の合成単離に成功した。
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