研究課題
本研究では、腸内細菌叢が腸管粘膜免疫を調節する際に、大腸粘膜固有層白血球においてmiR-200ファミリーによる遺伝子サイレンシングを介してインターロイキン-2(IL-2)産生が制御されることを直接的に証明するため、以下のように検証を進めた。1) IL-2産生細胞のモデルとしてマウスT細胞株EL-4細胞を使用し、miR-200ファミリーの標的遺伝子であるBcl11b、Ets1、およびZeb1のsiRNAをエレクトロポレーション法により遺伝子導入した。リアルタイム定量PCR法により、導入遺伝子のmRNAレベルの低下を観察したが、ウエスタンブロッティング解析によるタンパク質レベルの低下は観察されなかった。さらに、ELISA法によりsiRNAを導入したEL-4細胞における培養上清中のIL-2レベルを確認したが、変化は認められなかった。これらのことは、miR-200ファミリーによる標的遺伝子のサイレンシングを介したIL-2の産生制御メカニズムには、別の制御機構が存在しており、マウス大腸とTリンパ球では異なる制御機構が存在する可能性を示唆している。2) 1)と同様に、EL-4細胞にmiR-200ファミリーを導入し、マイクロアレイ解析によりmiR-200ファミリーと相互作用する新たな標的mRNAの同定を目指した。ネガティブコントロールを導入した細胞と比較してmiR-200a-3pおよびmiR-200b-3pを導入した細胞では、それぞれの標的であるCrtap、Cxcr4、Flt1、Nedd4、Rac1、Sec23a、St3gal3、Ubap2lおよびZeb1のレベルが低下した。Crtap、Sec23a、およびUbap2l以外の遺伝子は、免疫システムプロセスの遺伝子オントロジーを有することから、miR-200ファミリーによるIL-2産生調節以外の免疫調節機構の存在が予想された。
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Bioscience of Microbiota, Food and Health
巻: - ページ: -
10.12938/bmfh.2022-073
J Nutri Sci Vitaminol.