本研究の目的は、始原生物からヒトに至るまで呼吸の根幹を担う [NiFe] ヒドロゲナーゼ/呼吸鎖複合体 I 酵素群のタンパク質進化における「ミッシングリンク」を解明することを目指し、NiFe 活性中心を失った呼吸型ヒドロゲナーゼ様酵素複合体 Ehr の呼吸機能を明らかにすることである。全原核生物ゲノムのバイオインフォマティクス解析により、Ehr が第 3 の呼吸鎖複合体 I 型酵素サブファミリーであり、環境微生物に広く保存され、電子伝達やプロトン輸送に関与する可能性を示した。さらに、Ehr を有する培養株の培養条件の最適化や遺伝子欠損株の作製など生理機能解明に向けた基盤構築に成功した。
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