ゲノム重複による高次倍数体の形成は植物一般にみられる現象であり、染色体倍化が植物の進化・種分化において重要な役割をもつと古くから考えられてきたが、倍数体形成による遺伝子レベルの進化については未だに解明されていない点が多い。 スミレ属は日本という狭い範囲内で環境適正や形態などが多様化した数十種類の異質多倍体スミレが自生しており、ゲノム倍数化と種分化の研究において適した研究材料である。スミレ属でゲノム研究を展開するための基盤構築が実現すれば、染色体倍化がもたらす植物の進化・種分化機構の役割の解明に貢献すると考えられる。
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