研究課題/領域番号 |
21K20582
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
堺 俊之 京都大学, 農学研究科, 助教 (50911682)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | eQTL / 発現差異解析 |
研究実績の概要 |
本研究では、イネのひとめぼれ系統と、KALUHEENATI系統を交配させて得られた自家交配集団であるRecombinant inbred line(RIL)系統を材料として使用している。このRIL系統の中には、抵抗性遺伝子であるPii遺伝子を持ち、イネいもち病菌に対し抵抗性を示す系統が含まれている。本研究では、このPii遺伝子によって活性化される抵抗性反応において、重要となる遺伝子の発現を制御する要因をeQTL解析によって特定することが目的である。 本年度の目標としては、eQTLを特定する数理統計モデルの構築が目標であった。事前研究のデータとして、Pii遺伝子を保有するRIL系統に対し、イネいもち病菌を接種した後のRNAseqデータが得られており、このRNAseqデータを用いてeQTL解析の手法開発、および解析パイプラインの構築を達成した。また、相互作用遺伝子座を検出するモデルであるRILStEp (Sakai et al., 2021)や、決定木アルゴリズムを基にしたGradientBoosting法を用いて、複数のeQTLが関与している場合の解析手法を開発した。 開発した手法を用いた解析結果として、ある遺伝子の遺伝子型が、ひとめぼれ型からKALUHEENATI型に変わることで、10個の抵抗性に関与すると考えられる遺伝子の発現量が大幅に低下しており、特定した遺伝子が複数の抵抗性遺伝子の発現量を制御している可能性が示唆されている。今後は他のeQTL候補を同定しつつ、今回特定された遺伝子の評価を進めて行く予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標としては、eQTLを特定する数理統計モデルの構築が目標であった。事前研究のデータとして得られていた、Pii遺伝子を保有するRIL系統に対してイネいもち病菌を接種した後のRNAseqデータを用いて、eQTL解析の手法および解析パイプラインの構築を達成している。 また、相互作用遺伝子座を検出するモデルであるRILStEp (Sakai et al., 2021)や、決定木アルゴリズムを基にしたGradientBoosting法を用いた、複数のeQTLが関与している場合の解析手法の開発も達成している。 また、本手法を用いた解析結果として、10個の抵抗性遺伝子の発現量を制御している遺伝子の特定にも成功しており、特定された遺伝子の評価を進めて行く次年度の計画にも問題はないと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度開発したeQTL解析の手法によって、複数の遺伝子の発現量を制御していると考えられる遺伝子の特定に成功している。 今回特定した遺伝子の遺伝子型がひとめぼれ型から、KALUHEENATI型に変わることで、10個の抵抗性に関与していると考えられる遺伝子の発現量が大幅に低下することから、特定した遺伝子がこれらの遺伝子の発現制御に関与していることが示唆されている。 以上の結果より、特定した遺伝子のノックアウト系統を作成しRNAseqを実施することで、特定した遺伝子によって制御されていると考えられる10個の遺伝子の発現制御関係が評価できる。 今後は別のeQTL解析の結果から他の制御遺伝子の同定を進めつつ、今回特定された遺伝子の評価実験を進めて行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
世界的な半導体不足から、購入予定であったワークステーションの納品にかなりの時間がかかることが判明し、研究の遂行に問題が生じる可能性が出たため、現在は所属している京都大学のスーパーコンピュータを代わりに活用している。解析の状況によっては来年度にスーパーコンピューターの契約料が生じる可能性がある。 また、本年度行う予定であったRNAseqに関しては、RNAseqを行う対象のノックアウト系統の作出に時間がかかっているため、来年度にまとめて反復としてRNAseqを行う様に計画を変更した。 以上の事から、本年度の予算の大部分は次年度に使用する予定となった。
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