研究課題/領域番号 |
21K20597
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
児嶋 美穂 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (30572276)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | ミクロフィブリル傾角 / 近赤外 / 材質 / NIR / 樹種 / 非破壊 |
研究実績の概要 |
密度、繊維長、ミクロフィブリル傾角や解剖学的特徴等の簡便・迅速な推定は、木材利用の基盤として重要である。それにもかかわらず,材質分析にはサンプル数、測定時間とも膨大なものが必要なため、多種多様な樹種について、あるいは生育環境の差異が材質に与える影響ついては十分な分析がなされていない。本研究では、強度特性を評価する重要な指標であるミクロフィブリル傾角に着目し、何がミクロフィブリル傾角に影響を及ぼしているかを明らかにすることを目的に、まず、近赤外分光法を用いた簡易的かつ迅速なミクロフィブリル傾角推定手法を確立する。次にこの手法を用い、ミクロフィブリル傾角を網羅的に測定し、樹幹内での部位、樹種、産地、遺伝的特性、成長速度との関係を解析し、ミクロフィブリル傾角の規定因子を解明する。 本年度は近赤外分光法での測定方法および試料調整方法を検討した。その結果、近赤外を照射する方向を一定にする必要があることが明らかになったため、試料および測定器を固定する治具の製作を行なった。また、従来法であるエックス線回折装置を用いて、主に早生樹材のミクロフィブリル傾角の測定を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の影響により、協力研究機関等への訪問は見合わせたが、本年度予定していた従来法によるミクロフィブリル傾角の測定はすべての試料について終了することができた。また、測定用の治具の製作が当初の予定より遅くなったが、治具の製作によって、近赤外分光法による光学計測が安定的に可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は下記2点について研究を進める。 ①近赤外スペクトルから材質を推定:材質測定を行った試料の近赤外スペクトルを測定し、従来法による実測値と照合し、材質推定の精度を検証し、ミクロフィブリル傾角のデータを蓄積する。 ②樹種や生育地による差を検出するかを検討:材質測定の済んだ、同一樹種だが産地が異なる試料および、成熟材・未成熟材の特定部分毎に計測を行い、どれほど吸光度に影響が出るか、波長と吸光度との関係を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
サンプル測定用の治具が特注での作製となったため、納品が遅くなった。その結果、当初予定していた次年度の予備実験が行うことができなかったため、次年度使用額が生じてしまった。また、コロナの影響で半導体および材料不足も影響した。 本年度は、主にデータ解析用の統計ソフトおよびPCの購入と実験補助の人件費として使用予定である。
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