哺乳類には通常 “雄と雌”が存在し、この解剖・生理学的区別は各種病態の差異を生む。免疫や腎疾患には顕著な“性差”がみられ、その病態発生には性ホルモンが中心的役割を果たすが、詳細な機構および性腺を摘出した動物への長期的な影響は不明である。申請者は、自己免疫疾患モデルマウスの精巣摘出は糸球体硬化性病変を軽減させ、その病理にはボウマン嚢上皮細胞の機能形態変化が関与することを見出した。本研究では、雄性ホルモンによるボウマン嚢上皮細胞制御機構を、性が関与する糸球体硬化病態発生論の核心と捉え、その解明を目指す。 現在、尿中のCD44関連分子についての精査を行っている。抗体アレイにより、腎炎モデル尿中の炎症関連分子を定量した。今後、検出された分子と腎臓内CD44との関連を免疫組織化学および定量PCRで検証していく予定であるが、海外での研究実施のため、研究を中断している。 研究再開後は、糸球体とボウマン嚢上皮細胞の相互作用について検証するため、メッシュ法等を用い、糸球体とボウマン嚢を回収・分離、組織培養を試みる予定である。
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