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2021 年度 実施状況報告書

犬の鼻腔疾患における診断アルゴリズム作成および鼻腔細菌叢解析

研究課題

研究課題/領域番号 21K20618
研究機関日本獣医生命科学大学

研究代表者

藤原 亜紀  日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (40709755)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2023-03-31
キーワード犬鼻腔疾患 / 診断アルゴリズム / 鼻腔細菌叢
研究実績の概要

鼻腔疾患で来院し麻酔下検査で確定診断した犬103症例(アルゴリズム作成群)を用いて、シグナルメント・問診・身体検査、X線検査所見を組み合わせてアルゴリズムを作成した。作成したアルゴリズムを用いて鼻腔疾患54症例(検証群)において感度・陽性的中率を算出したところ、腫瘍はそれぞれ89.7%, 92.9%、鼻炎は81.8%, 75.0%であった。次年度も検証群の症例数を増やして解析予定である。
鼻腔スワブサンプルは、確定診断を行った鼻腔疾患を有する犬10頭および対照として正常犬9頭から採取した。鼻腔スワブは①犬が鎮静処置などを行わずに覚醒している状態で外鼻孔経由、②また診断のための検査を行う際に麻酔下で鼻腔の深部から採取、鼻炎の症例では③鼻腔洗浄後の鼻腔からスワブを採取した。採取したスワブからDNAを抽出後、16S rRNA遺伝子解析を実施し、シグナルメント・採取方法および疾患間による細菌叢構成の比較を行った。いずれの症例も一般的な細菌培養検査および犬呼吸器感染症PCR検査(IDEXX社)において、感染体は検出されなかった。また品種、年齢、体重などのシグナルメントによる細菌の数および種類の違いは認められなかった。疾患間における違いとしては、採取方法②における結果から、腫瘍および鼻炎において特定の細菌の増減が認められた。採取方法が異なる①および②では全体的な傾向は似ているが一部で異なる結果が得られたため、鎮静処置を行わないでスワブを採取する場合は鼻腔吻側の細菌叢を反映することや口腔内細菌叢が混在することが明らかとなった。採取方法③は①および②に比較すると多くの細菌数が検出され、細菌叢の分布も異なっていたため、鼻腔に鼻汁が多く貯留している状態であると鼻粘膜における真の細菌叢が検出できないことが示唆された。次年度も症例数を蓄積する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

鼻腔細菌叢解析について、予定より症例の来院が偏っているため鼻炎の症例数が少ないが、概ね順調に進行している。

今後の研究の推進方策

鼻腔アルゴリズム作成については、検証群の症例蓄積、画像所見の評価者における差異が出ないようにする評価方法の探索、アルゴリズム作成においてこれまでのマニュアル作成だけではなく予測モデルを用いた統計解析も併用することを検討している。
鼻腔細菌叢解析については、症例数が少なく統計解析による差が認められていないため、積極的に症例数を蓄積することを次年度の目標としている。

次年度使用額が生じた理由

来院症例数が予定より少なかったため、次年度に使用する予定である。また学会が対面開催とならなかったことも本年度使用できなかった理由である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 飼い主と獣医師のためのインフォームドコンセントガイド リンパ球形質細胞性鼻炎2021

    • 著者名/発表者名
      藤原亜紀
    • 雑誌名

      SA Medicine

      巻: 27(161) ページ: 82-85

  • [雑誌論文] 診断に導く思考回路 頻呼吸・呼吸困難 総論 総合内科医の視点2021

    • 著者名/発表者名
      藤原亜紀
    • 雑誌名

      SA Medicine

      巻: 134(23) ページ: 6-16

  • [雑誌論文] 咽喉頭疾患を安全に診断・治療する 総論2021

    • 著者名/発表者名
      藤原亜紀
    • 雑誌名

      咽喉頭疾患を安全に診断・治療する 総論

      巻: 3(9) ページ: 6-25

  • [学会発表] Construction of diagnostic algorithms for canine nasal diseases using less-invasive examinations without anesthesia2022

    • 著者名/発表者名
      Yuta Nakazawa, Takafumi Oshima, Hideyuki Kanemoto, Yu Sasaki, Yudai Ishikawa, Michio Fujita, Aki Fujiwara-Igarashi
    • 学会等名
      The 8th meeting of Asian Society of Veterinary Internal Medicine
    • 国際学会
  • [学会発表] 副腎皮質ステロイド剤の使い方 呼吸器疾患2022

    • 著者名/発表者名
      藤原亜紀
    • 学会等名
      第18回日本獣医内科学アカデミー学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 猫の鼻腔・鼻咽頭内疾患における診断アルゴリズムの作成2022

    • 著者名/発表者名
      猪野雅俊, 中澤優太, 金本英之, 佐々木悠, 石川雄大, 濱本裕仁, 藤田道郎, 藤原亜紀
    • 学会等名
      第18回日本獣医内科学アカデミー学術大会
  • [学会発表] 犬の鼻腔疾患における診断アルゴリズムの作成2021

    • 著者名/発表者名
      中澤 優太, 藤原 亜紀, 金本 英之, 佐々木 悠, 大島 嵩史, 長谷川 大輔, 藤田 道郎
    • 学会等名
      第164回日本獣医学会学術集会
  • [学会発表] 上気道の画像診断2021

    • 著者名/発表者名
      藤原亜紀
    • 学会等名
      第68回日本獣医画像診断学会
    • 招待講演
  • [図書] 獣医内科学 第3版 第3章呼吸器・胸腔疾患(鼻腔の疾患、咽頭と喉頭の疾患、縦隔気腫)2022

    • 著者名/発表者名
      分担執筆:藤原亜紀
    • 総ページ数
      1172
    • 出版者
      文永堂出版
    • ISBN
      978-4-8300-3283-7

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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