鼻腔細菌叢については全期間を通して鼻腔疾患を有する犬14頭から採取した。対照は正常犬18頭から鼻腔スワブを採取した。鼻腔疾患26頭の内訳は非感染性鼻炎12頭、鼻腔腫瘍14頭であった。α多様性については、年齢が9歳以上で、また疾患の違いでは非感染性鼻炎において種の多様性が増加していた。β多様性については、各疾患における差は認められなかった。細菌科レベルでの疾患間における違いとしては、正常ではMoraxellaceaeが鼻腔細菌叢の大半を占めそのほかの菌種が少数認められた。非感染性鼻炎においてはMoraxellaceaeが減少し、そのほか少数の菌種が増加していた。腫瘍においてはMoraxellaceaeが減少し、Neisseriaceae、Pasteurellaceae、Weeksellaceaeの増加が目立った。今後は細菌に対する免疫機構の反応性評価を行うため条件検討中である。またこれまでのデータをまとめ学会にて発表を行い、現在論文投稿中である。 鼻腔疾患アルゴリズム作成については、鼻腔疾患として鼻腔腫瘍、鼻炎として非感染性鼻炎、細菌性鼻炎、異物性鼻炎、真菌性鼻炎などが含まれた。アルゴリズム作成群として103頭のデータを用いてアルゴリズムを作成し、アルゴリズム検討群として75頭を対象とした検証した。アルゴリズム作成は手動による作成のほか、ロジスティック回帰分析を用いて作成し、それぞれの感度・特異度を評価した。また専門医の診断との比較も実施した。本研究も学会にて発表を行い現在論文投稿中である。
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