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2021 年度 実施状況報告書

細菌の休眠ダイナミクスを示す代謝ネットワーク構造の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K20626
研究機関東京大学

研究代表者

姫岡 優介  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (70903160)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2023-03-31
キーワード代謝 / 動力学 / 細胞
研究実績の概要

パンデミックの影響により、研究のために必須であった計算機の納品が行われたのが2022年の1月であった。そのため現時点における研究の進行は限定的なものである。
本研究は「休眠状態」と呼ばれる、微生物が飢餓状態で示す状態に関する理論研究である。休眠状態において微生物細胞は成長しない代わりに抗生物質などの幅広いストレスに耐性を示すことが知られている。また、この状態において代謝物質の濃度は非定常状態であることを示す実験的証拠が近年多く報告されており、動力学モデルにおける理解の重要さが認識されている。
本来の研究計画においては、KEGGなどの代謝反応データベースより代謝ネットワークを取得し、自らそれらのモデル化を行う予定であった。しかし本研究課題のシードとなった論文(Himeoka & Mitarai, bioRxiv 2021)に対する批判を鑑みて、自らのモデル化を行うのではなく、A. Khodayari, et al., Met. eng. 25 (2014): 50-62. や R. Z. Thornburg, et al., Cell, 185.2 (2022): 345-360. など、現存する大腸菌代謝システムの動力学モデルを詳細に調べることにした。これらのモデルをシミュレーションすることを通じて、異常緩和を示すための条件についていくらかの仮説をえることが出来たため、現在それらの検証を行なっているところである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題は大腸菌のような単純な生物において「休眠状態」と呼ばれる特殊な生化学的状態がどのようにして生じるかを明らかにすることを目的としたものである。
研究の初年度は、研究グループによって異なるプログラミング言語に対応して代謝動力学モデルを設定することに時間を費やした。とりわけ本研究の実行にあたり、大腸菌の代謝動力学モデルの実装は、先行研究の使用しているプログラミング言語が異なることが大きな障壁となったが、3つの先行研究で用いられた代謝動力学モデルを統一的な方法で記述した。
それぞれのモデルにおける緩和過程を観察したところ、定常状態への緩和の様相とネットワークの構造に関する関連性が見られたため、現在より詳細な解析を実行している。
進捗状況に関して注記すべきこととしては、パンデミックの影響により、研究のために必須であった計算機の納品が行われたのが2022年の1月であった。その点を鑑みると研究は十分順調に進行していると考えられる。

今後の研究の推進方策

本年度は、昨年度の研究で得られた、代謝ダイナミクスにおいて異常緩和が出現する条件に関する仮説を検証する。具体的にはまず、ボトムアップ的にミニマルモデルを作成してメカニズムを抽出し、その後に生物学的にリアリスティックな代謝モデルにおいてもボトムアップモデルと同等のメカニズムが働いているかを確認する。
大腸菌の代謝モデルとしてはA. Khodayari, et al., Met. eng. 25 (2014): 50-62. や R. Z. Thornburg, et al., Cell, 185.2 (2022): 345-360. といった、すでに構築されているモデルを用いることを予定している。

次年度使用額が生じた理由

884円で購入できるものは数本のボールペン程度であり、翌年に繰り越して書籍等の購入に充てるべきと考えたため

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 人工的な代謝ネットワークの緩和特性とネットワーク構造2022

    • 著者名/発表者名
      姫岡優介
    • 学会等名
      日本物理学会

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公開日: 2022-12-28  

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