研究課題
多くの草木の茎や幹が、円柱状に形を整え強度を維持しながら成長する姿はごく当たり前のこととしてみられているが、その根底にある形態形成の仕組みは謎のままであった。植物細胞は細胞壁で互いに結合しているため、各細胞が成長する際には相当の力の発生と、組織・器官における力学的配置に変化が起こる。本研究では、茎に自発的に亀裂が生じるシロイヌナズナの形質転換系統を用いて、その詳細な形態学的知見に基づき、力学的ストレスの程度が異なることが予想される茎の組織毎に網羅的な遺伝子発現解析を行なうことで、茎の形態形成と機械的整合性維持機構の制御を司る遺伝子発現基盤を明らかにすることを目的とした。茎の組織ごとの遺伝子発現解析には、茎の各組織(表皮、内皮、維管束など)に特異的に発現する遺伝子のプロモーター制御下で核に蛍光タンパク質GFPを発現する系統の作製を計画した。最終年度にはそれらが完了し、GFP蛍光を指標とした核ソーティングによって細胞分画を行い、それらから作製したRNAライブラリに関して網羅的な遺伝子発現解析を行なう基盤が完成した。また、本研究で用いた系統やその関連系統について並行して詳細な形態解析をすすめ、茎器官の力学的な整合性の維持には、維管束の数や配置が重要であり、茎を構成する多様な細胞、組織間で調和の取れた形態形成が重要であることを見出した。これらの研究成果は筆頭著者論文として学術雑誌に発表した。また、その成果の一部と関連研究を中心に、器官損傷により顕在化する、形態形成に及ぼす力学的要素の影響について総説としてまとめて学術雑誌に投稿し、掲載が予定されている。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)
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