研究課題/領域番号 |
21K20671
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岩崎 藍子 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (00826076)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 攪乱 / 人為ストレス / 異常気象イベント |
研究実績の概要 |
本研究は温度や富栄養ストレスが急性の高温イベントと同時に作用する場合、その組み合わせによって、磯の生物群集の応答がどのように異なるかを実験的に確かめることを目的としている。 今年度は、実験の準備期間として、実験地選定や実験における温度操作の方法について具体 的に検討した。実験地の選定では、当初予定していた施設横の海岸に加えて、幅広く海岸をまわった。なぜなら、予想よりも人為的な影響が大きいと考えられたからである。また、温度操作については、1年を通じて温度操作を行うには、積雪量が多すぎることが分かった。次年度では早々に、これら候補地の中で、アクセスや実験操作のしやすさ、実験操作以外の人為的、気候的影響を総合的に評価したうえで、実験地を決定し、予備実験を開始する。 さらに、群集構造の変化のプロセスを明らかにするために、対象種を絞り込んだうえで、室内実験を行うことも検討している。 実験計画が遅れているため、同時並行して多重攪乱の作用順序の影響についてのメタ解析を行った。結果は学会にて発表を行った。今年度中に論文化する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度に予備実験を開始する予定だったが、実験地の選定や実験の操作方法の決定に難航している。実験地は、当初研究施設すぐ横の海岸を予定していたが、他の選択肢を検討することも必要となった。なぜなら、予想より人為的な影響が大きく、また、冬の積雪によってサーモスタッドを通年設置することが難しいことが判明したからである。そこで研究施設すぐ横の海岸のほかにも北海道から東北に至る幅広い海岸をまわり、その実現可能性を検討した。同時に、屋外実験に代わって室内で実験を行う可能性も検討している。
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今後の研究の推進方策 |
野外実験の操作が予想以上に困難であることが判明したため、野外実験とバックアップとしての室内実験を並行して行うことを検討している。野外実験では、磯の生物群集全体の応答を確かめるのに対し、室内実験では、群集の中の優占種(フジツボなど)や影響力の強い消費者(ウニなど)といった特定の個体群の応答に注目する。群集構造の変化のプロセスとして、その背景にある個々の個体群の応答の影響を検討することができる。 来年度は、予備実験を完了させるために、調査地を決定し、その操作方法を確立する。同時に、既存のモニタリングデータを用いて、室内実験でターゲットとする種の選定を行い、室内実験も開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定外の学内研究費の獲得に加え、調査地選定や実験方法の確立の遅れから予定よりも支出がなかった。調査地選定は、他の研究と併せて行ったため、旅費の支出はなかった。また、予定していた学会発表に伴う出張もオンライン開催になったため不要となった。繰り越した研究費は、研究の遅れに伴って研究機関を1年延長し、予定通りの実験を行うために使いたい。
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