研究課題/領域番号 |
21K20681
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
北島 奈美 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 特任研究員 (20908818)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 睡眠 / 大脳皮質 / 視覚野 / 情報処理 / イメージング |
研究実績の概要 |
大脳皮質では、覚醒時だけでなく、外界からの情報入力のない睡眠時においても活発な神経活動が観察される。この睡眠時の神経活動は、記憶や学習などの高次脳機能に関与することが示唆されており、覚醒時と同様に、何らかの情報処理を行うと考えられている。そこで、本研究では、睡眠時の大脳皮質視覚野における神経活動が、どのような情報をどのように表現しているかを調べることで、大脳皮質における情報処理メカニズムを解明することを目的としている。当該年度では、睡眠時神経活動を捉えるため、大脳皮質神経細胞に蛍光カルシウムインジケータを発現したトランスジェニックマウスを用いて、自然状態に近い睡眠覚醒を顕微鏡下で実現し、睡眠覚醒時における大脳皮質視覚野神経細胞のカルシウムシグナルを可視化する測定システムの確立に取り組んだ。睡眠覚醒ステージの判定は、脳波・筋電図を計測することにより行った。顕微鏡下でのカルシウムイメージングと同時に睡眠覚醒ステージの判定を行うこの測定システムの確立により、ノンレム睡眠・レム睡眠を含む睡眠時および覚醒時における神経活動の時空間パターンを捉えることに成功している。今後は、この測定システムによって計測したノンレム睡眠、レム睡眠および覚醒時の神経活動の時空間パターンを網羅的に解析することで、睡眠時神経活動による情報処理メカニズムを明らかにし、記憶・学習を含む様々な脳機能における大脳皮質神経活動の役割解明につなげたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の申請計画に基づき、睡眠時の視覚野神経活動の測定システム確立を進め、ノンレム睡眠、レム睡眠および覚醒時の神経活動動態の可視化を実現している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当初の申請計画に基づき、視覚野における神経活動の時空間パターンを、睡眠時と覚醒時とで比較解析する。これにより、睡眠時神経活動が、覚醒時とどのくらい類似した時空間動態を示すのかを検証し、睡眠時神経活動による情報処理メカニズムを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、飼育動物数の削減や、一部の動物実験を延期する必要があったため、飼育関連費用や動物実験に関わる消耗品費を次年度へ先送りする。
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