研究課題/領域番号 |
21K20685
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
市木 貴子 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30778519)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
キーワード | 飲水 / 節状神経節ニューロン / イメージング / 迷走神経 / 浸透圧 / 感覚受容 |
研究実績の概要 |
適切な飲水量の調節には、飲水行動の開始制御だけでなく、抑制・終了制御も重要である。飲水後の持続的な飲水抑制には、消化管での低浸透圧感知が必要不可欠であることが示唆されてきたが、そのメカニズムは未解明である。申請者は、消化管の感覚受容に主要な役割を果たす迷走神経の活動をリアルタイムで観察するために、迷走神経の求心性感覚神経節である節状神経節のin vivoカルシウムイメージングの実験系を確立し、腸管内への水灌流によって特異的に反応する神経群を発見した。しかし、これらの神経群が活性化するメカニズムは不明である。腸管によって吸収された水分や栄養素は、上腸間膜静脈を経由してすべて肝門脈へ集められることから、肝門脈を支配する神経群がこれらの感知に関与していることが予想される。 そこで本研究では、独自のイメージングの系を用いて、末梢器官において肝門脈を支配する迷走神経が低浸透圧刺激の感知に寄与するかどうかを検討する。これにより、体液恒常性を維持する神経基盤の一端を解明することを目指す。 節状神経節のin vivoカルシウムイメージングを行い、肝枝の選択的切除後に、水による低浸透圧刺激に特異的に応答する神経群の反応に変化があるか記録した。またコントロールとして、腸管への機械的刺激(膨張刺激)に対する反応に変化がないことも確かめた。 肝門脈を支配する迷走神経が飲水行動に及ぼす影響を調べるために、マウス肝枝の選択的切除を行い、偽手術群(Shamオペ群)と比較して、24時間脱水後の飲水量を調べた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新潟大学に赴任後、所属先研究室照沼教授からの厚い支援のもと共焦点レーザー顕微鏡をはじめとした必要機器のセットアップも進んでいる。研究機器の共有や新潟大学動物実験施設における動物の飼育・使用の準備も整い、まだ整備が必要な課題も残っているものの概ね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、肝門脈が迷走神経を介して消化管内の低浸透圧刺激に反応し、飲水後の飲水抑制に寄与するかどうかを確かめるために、肝門脈への低浸透圧刺激に対する迷走神経応答を記録する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
学会発表のために計上した旅費の使用がなかったため。次年度以降、データの蓄積を行い必要に応じて研究発表や情報収集のための旅費や必要機器・試薬の購入に充てたい。
|