研究課題
本研究はアドレナリンα2受容体作動性鎮静薬であるデクスメデトミジンの作用機序を、薬理遺伝学・光遺伝学的に、神経回路レベルから解明することを目指した。最終年度となる2年目は、1年目に引き続き、特定の神経細胞群を活動依存的に可視化する解剖学的手法(TRAP)により、α2作動性鎮静薬であるデクスメデトミジン投与によって活性化される領域をスクリーニングした。その結果、特に視床、視床下部、中脳、橋に鎮静中において活性化される細胞群を見出した。さらに、それらの領域について、薬理学的・光遺伝学的操作(ケモジェネティクス、オプトジェネティクス)を行い、鎮静および睡眠覚醒への関与を検証した。すなわち、デクスメデトミジンによって活性化された神経細胞へ特異的にカルシウムセンサーを発現させ、鎮静時・薬理的覚醒時・睡眠時の神経活動を記録した。加えて、デクスメデトミジンによって活性化された神経細胞へ特異的に、神経活動の活性化・抑制を行った。その結果、鎮静作用候補細胞群の自発発火は睡眠覚醒のうちの覚醒時に活動が高まった。さらに、薬理学的・光遺伝学的活性化は睡眠からの覚醒を引き起こした。以上の結果から、鎮静薬デクスメデトミジン投与時に活性化された細胞群の少なくとも一部は、鎮静薬に対抗して生体維持・覚醒を促す細胞群である可能性が示された。以上により、鎮静薬投与時に活性化される特定の細胞群に鎮静作用が見られなかったことから、鎮静作用の作用機序として、覚醒時に活性化される細胞群が抑制されることで覚醒が維持できなくなる、という仮説が提案された。
すべて 2022
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Nature Neuroscience
巻: 26 ページ: 64-78
10.1038/s41593-022-01214-2