研究課題/領域番号 |
21K20705
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
上條 諭志 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神薬理研究部, リサーチフェロー (20910491)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 発達期小脳活動 / 自閉症スペクトラム障害 / 小脳 / プルキンエ細胞 / 視床皮質回路 / マクロスコピックイメージング / カルシウムイメージング |
研究実績の概要 |
【発達期小脳活動抑制系の確立】子宮内電気穿孔法を用いた抑制性分子の導入を計画していたが、発現量、発現パターンが安定しないことがわかったため、ジャクソン研究所から組み換え酵素Cre依存的に抑制性DREADD-hM4Diを発現するマウスを導入した。このマウスを、小脳特異的にCreを発現するL7-Creマウスとかけ合わせ、産仔にCNO(クロザピン-N-オキシド)を経口投与することで、プルキンエ細胞の活動を安定して抑制できる系を確立した。また、抗生物質ドキシサイクリンにより抑制性チャネルKir2.1を発現するマウスを理研から導入し、より長期の抑制にも対応できる系を整備した。
【解析の現状】上記の発達期小脳活動抑制マウスを用いて、組織学的解析および行動実験バッテリーを行った。一部の行動実験については装置がなかったため、当部・三輪秀樹博士の協力を得て整備した。脳波解析についてはやや遅れているものの、別プロジェクトで成体の脳波手術を20匹以上行い、手技を習得した。また、経験のなかった行動実験および成体での脳手術(ウイルス注入、脳波測定)の指導を受けた。
【イメージング装置の作製】脳波測定と並ぶ機能面での解析手法として、申請者の過去の経験をもとに、背側大脳皮質の神経活動をin vivoで網羅的に測定できる多色型マクロスコープおよびその制御ソフトウェアを作製した。また、イメージング用の蛍光カルシウムプローブを発現するマウスをジャクソン研究所から導入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定とは異なる方法となったが、より安定性の高い発達期小脳活動の抑制系を確立し、想定した実験に着手できている。不足していた行動実験の系も順調に整備が進んでいる。脳波解析についてはやや遅れているものの、他プロジェクトで手技を習得しており、近日中に実行予定である。イメージング装置により、脳波とは別方向からの機能解析が可能となったのは想定外のプラスである。
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今後の研究の推進方策 |
確立した小脳活動抑制の系を用いて提案の実験を進める。細かい修正点として、組織学的解析においてc-Fosマッピングを追加する。また、細胞形態をより正確に定量するため、ウイルスを用いたスパースラベリングの技術を導入する。in vivoマクロスコピックイメージングは多色型である特徴を活かした興奮・抑制バランスの同時測定、感覚情報処理の異常に着目して実験系を構築する。
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次年度使用額が生じた理由 |
注文した物品の納品が遅延しており、年度内に間に合わなくなったため。
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