研究課題/領域番号 |
21K20717
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
鳥羽 由希子 大阪大学, 薬学研究科, 特任助教(常勤) (10904930)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | オルガノイド / 肝細胞 |
研究実績の概要 |
多くの薬物は肝臓において代謝されるため、ヒト肝細胞を用いた安全性評価は創薬研究に必要不可欠である。すなわち、高機能なヒト肝細胞は新薬開発の効率化に資する有用なツールとなり得る。近年、肝臓オルガノイド培養技術が開発されたが、その肝機能は低い。そこで本研究では、ヒト凍結肝細胞に匹敵する高機能な肝臓オルガノイド培養技術を確立を目指した。三次元培養体である肝臓オルガノイドが抱える種々の課題を解消するため、二次元培養にて分化・成熟化を試みた。 2021年度では、播種時のコーティング条件の検討、および播種用培地の組成の検討、分化・成熟化を促す低分子化合物のスクリーニングを実施した。また、計画時には想定していなかったが、細胞密度が肝細胞の分化を制御している可能性も考えられたため播種密度の検討も実施した。多方面から、段階的に100条件以上の比較検討を行なった。その結果、肝臓オルガノイドから大幅に肝機能が回復した肝細胞の作成に成功した。なお、薬物代謝酵素などの遺伝子発現量およびその活性は、ヒト凍結肝細胞に近い水準であった。 本研究による汎用性の高い新規ヒト肝細胞モデルの創成は、新薬開発の加速化だけでなく、肝疾患の発症機序解明や肝細胞移植など幅広い分野に貢献することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に準じて遂行することができており、肝臓オルガノイドの分化・成熟化を実現可能な因子を見出すことができているため。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は最終段階のスクリーニングを予定しており、高機能な肝臓オルガノイド由来肝細胞を作成する条件を決定する。ヒト凍結肝細胞に匹敵する機能を有した肝細胞の作成技術の創出を最終目標としているため、予定しているスクリーニング候補成分により十分な効果が得られなかった場合、候補を再考する。また、2021年度は遺伝子発現量解析が主であったが、薬物代謝酵素活性や肝機能の測定を実施することで、より多方面から肝細胞としての性質を解析する予定である。
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