研究実績の概要 |
中分子量のペプチド化合物は、タンパク質間相互作用(protein-protein interaction, PPI)の広い作用面に対して特異的かつ強力に相互作用することができるため、PPIの制御に有用である。しかしながら、制限や課題の多さゆえ、創薬シーズとなるペプチド化合物を見出すのは非常に困難であり、創薬シーズとなるPPI阻害ペプチド化合物を効率的に探索する基盤技術を確立することは非常に重要な意義を持つ。本研究では、タンパク質間相互作用阻害ペプチドの効率的な創出基盤技術を確立することを目的とし、この目的を、(1)one-bead-one-compound(OBOC)ライブラリー戦略と(2)人工知能(AI)を用いた解析を組み合わせた独自の革新的ペプチド創製法により達成することを目指す。 本研究では、LSD1/SNAIL1を標的PPIとし、研究を展開した。リシン特異的脱メチル化酵素1(LSD1)は転写因子SNAIL1と相互作用し、その相互作用阻害は抗がん活性を示すと期待されている。そこで、SNAIL1の配列を基盤とした新規LSD1/SNAIL1相互作用阻害ペプチドの創出を目指すこととした。まず、配列に組み込む非天然アミノ酸の合成を行った。続いて、SNAIL1の配列を基盤としたLSD1阻害ペプチドの構成アミノ酸残基数を種々変更したペプチドを各種合成し、そのLSD1阻害活性評価を行うことで、LSD1阻害活性とペプチドの構成アミノ酸残基数の連関を明らかにした。また、種々側鎖を置換したペプチドを合成し、そのLSD1阻害活性を評価することで、構造活性相関における知見を得た。さらに、OBOCライブラリーの合成基盤を確立した。
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