本研究では、薬剤候補化合物の生体内での治療 (延命) 効果を迅速に評価出来る in vivo 評価系「カイコ抗酸菌症 (結核および非結核性抗酸菌 (NTM) 症) モデル」を用いたスクリーニングにより、治療薬の新規リード化合物を天然資源から発見することを目的としている。 研究期間中に、陸棲および海洋微生物 (真菌・放線菌) の培養液、培養抽出物の分画サンプルおよび海洋生物の抽出液を用いて、約 600 サンプルをスクリーニングした。検定菌には、結核菌の代替菌として Mycobacterium smegmatis および M. bovis BCG、NTM 症の大半を占める肺 MAC (M. avium complex) 症の起因菌である M. avium および M. intracellulare の 4 種抗酸菌を用いた。まず in vitro (微量液体希釈法) で抗抗酸菌活性を示すサンプルを選択し、次に in vivo (カイコ抗酸菌症モデル) で治療効果を示すものを候補サンプルとし、これまでの検討継続株も含めて治療効果の高かったサンプルから優先的に活性物質の単離精製・構造解析を行った。その結果、M. avium および M. intracellulare を感染させたカイコモデルで優れた治療効果を示した Streptomyces sp. TMPU-20A065 株の培養液中より、複数の新規成分を含むリポシドマイシン類化合物を取得した。
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