本研究では、ALDH1陽性癌幹細胞の非対称分裂による解糖系能の不均一性獲得の一端を明らかにした。具体的には、ALDH1A3遺伝子の改変により、乳癌細胞株でALDH1A3発現を追跡するためのクローンを作製し、解析した。その結果、乳癌幹細胞が非対称分裂を介して解糖系能が高い癌幹細胞を維持しながら、解糖系能の低い非癌幹細胞を新たに生みだすことが示唆された。さらに、膵臓癌細胞株でもALDH1陽性癌幹細胞の非対称分裂を見出し、乳癌に限らず他の癌種でも同様の仕組みによって不均一性が獲得される可能性を示した。
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