研究課題/領域番号 |
21K20748
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
志摩 亜季保 福山大学, 薬学部, 助教 (10910151)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 細胞接着分子 / コレステロール / クローディン / 転写調節 |
研究実績の概要 |
血管内皮細胞における細胞接着分子クローディンD1(CLDND1)の発現量低下は脳卒中の発症および悪化に関与することが考えられる。また、疫学的調査の結果から脂質異常症が脳卒中の危険因子の1つとして報告されているが細胞接着分子の発現調節に対するコレステロールの影響は不明である。 これまで、転写因子RORαがCLDND1の転写に対して促進的に作用することを明らかにした。また、RORαのリガンドとしてコレステロール類が作用することから、コレステロール低下薬であるロバスタチンを用いてCLDND1の転写調節に対する影響を検討した。その結果、ロバスタチンによるコレステロールの低下は、CLDND1の発現調節に対して抑制的に作用することが明らかになった。ロバスタチンは、コレステロール合成経路の上流を阻害するためコレステロール以外の中間代謝物の合成量も低下する。しかし、それら中間代謝物によるCLDND1の発現調節については検討できていない。本研究では、RORαのリガンドとして最も効果のあるコレステロール中間代謝物を特定し、CLDND1の発現量をコントロールすることで、脳卒中に対する効果的な治療薬の開発を目的とする。 2021年度は、コレステロール合成経路の中間代謝物であるメバロン酸を介したCLDND1の発現調節について検討した。ロバスタチン処理細胞にコレステロールまたはメバロン酸を添加しRORα応答配列へのRORαの応答性を評価した。ロバスタチンによるRORαを介した転写の阻害は、コレステロール添加により一部回復した。それに対し、メバロン酸添加においてはロバスタチンによるRORαを介した転写の阻害に影響を示さなかった。メバロン酸は、コレステロール合成経路の上流に位置しており、それよりも下流の中間代謝物が影響している可能性がある。メバロン酸より下流の中間代謝物に関しては、現在検討を続けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は、コレステロール合成経路の中間代謝であるメバロン酸に加えてイソペンテニルピロリン酸およびゲラニルゲラニルピロリン酸についてもCLDND1の発現調節に対する影響を評価する計画であった。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響もありイソペンテニルピロリン酸およびゲラニルゲラニルピロリン酸は、試薬が長期欠品状態であり、メバロン酸の影響を評価するに留まった。年度末には試薬が納品されたため、現在は引き続きこれら中間代謝物によるRORα応答性への影響について検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、今年度の引き続きとして、イソペンテニルピロリン酸およびゲラニルゲラニルピロリン酸によるRORα応答配列へのRORαの応答性評価を進める。そして、当初の計画に従い、上記の解析で得られた結果に基づき、選出したコレステロール中間代謝物によるCLDND1発現への影響をリアルタイムPCR法およびウエスタンブロット法により検討する予定である。具体的には、ヒト血管内皮細胞に選出したコレステロール中間代謝物を添加し、CLDND1のmRNAおよびタンパク質の発現量を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗が予定より遅れたことにより使用する予定であった試薬など消耗品の購入費が当初の予定より少なくなったこと、新型コロナウイルス感染症の影響により学会がオンライン開催になり学会出張費が抑えられたこと等の理由により次年度使用額が生じた。次年度使用額は研究発展のために物品購入費、学会発表に使用予定である。
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