全身性エリテマトーデス(SLE)や皮膚筋炎ではI型インターフェロン(IFN)が病態に関与する。I型IFNは通常ウイルス感染に応答して産生されるが、代表的レトロトランスポゾンである長鎖散在反復配列(LINE-1)もI型IFN産生を誘導する。本研究ではLINE-1とI型IFNの相関が広く自己免疫疾患におけるI型IFN産生に関与し、初期病態形成機序にどのような影響を及ぼすかを目的とした。皮膚筋炎24人、SLE19人、自己免疫水疱症14人、健常人10人の末梢血白血球、血清、生検組織を用いた解析を開始した。末梢血白血球よりRNAを抽出し、cDNAに合成後、リアルタイムPCRを用いて、LINE-1などのレトロトランスポゾン、I型~III型IFN、JAK、 STAT、Interferon Stimulated Genes(ISGs)の遺伝子発現を解析した。各々の遺伝子発現の相関関係を、スピアマン相関係数を用いて解析し、I型IFNより下流のシグナル活性化を確認した。また末梢血白血球よりDNAも抽出し、バイサルファイト化を行い、LINE-1のプロモーター領域のメチル化レベルをパイロシークエンス法にて測定した。また皮膚生検組織を用いてISGsのタンパク質であるMxAとISG15の免疫染色を行い、皮膚におけるI型IFN活性化を確認した。皮膚筋炎患者ではI型IFNとLINE-1、一部のISGsの発現は上昇していた。SLEではII型IFNとISGs発現が上昇していた。自己免疫水疱症ではLINE-1とI型IFNの発現が上昇していた。3つの疾患群に加え健常においてI型IFNとLINE-1はスピアマン相関係数を用いて正の相関を示した。LINE-1の発現が上昇していた皮膚筋炎と自己免疫水疱症においてプロモーター領域のメチル化レベルは低下していた。ISGsとの相関にはそれぞれの疾患において特徴が見られた。
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