研究実績の概要 |
関節リウマチ滑膜滑膜線維芽細胞におけるGLIファミリーの作用の評価を引き続き行なっている。GLI3に対するプラスミドの作成を行なった。滑膜線維芽細胞に対する遺伝子導入として、エレクトロポレーシスやレトロウイルスベクター作成を用いての導入をおこなった。レトロウイルスベクターの使用によって、滑膜線維芽細胞へのGLI3プラスミドの導入は確認できたものの、Chip-Seq提出用のサンプル生成の段階で十分量のRNAの回収が困難であったことから、昨年度に引き続き、Chip-Seq用のKitの変更やキットの各段階でのインキュベーション時間などの条件検討を行うも、問題の解決は困難であった。 また、関節リウマチ滑膜滑膜線維芽細胞において、患者由来の滑膜検体間でGLI,GLI2,GLI3の発現が異なる可能性が、Western Blotの結果から考えられたことから、siRNAを用いて、GLI1,GLI2,GLI3各々の単独の抑制、およびGLI3とGLI1の同時抑制を行ない、その相互作用などの評価を行った。具体的には、滑膜線維芽細胞にsiRNAをトランスフェクションした後、TNF-αで刺激を行ったサンプルのRNAシークエンスを行い、各々の条件での遺伝子発現を評価した。GLI3に対するsiRNAではGLI1,GLI2の発現が上昇し、加えてIL6, IL23A, MMP3, CDC20などの発現上昇を認めた。このことから、siRNAからの結果からもGLI3と炎症、migration、proliferation関連の遺伝子との関連が示唆された。またGLI3抑制で発現の上昇したRNAの一部は、GLI3に加えてGLI1を同時に抑制することよって、その上昇が抑制された。このことから、おそらくGLI3はrepressorとして作用し、GLI1がactivatorとして働いていると考えられた。
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