研究実績の概要 |
EBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症(Epstein-Barr virus-associated hemophagocytic lymphohistiocytosis; EBV-HLH)の病態解明のため、異なる背景のEBV-HLH症例3例、EBウイルス(EBV)の典型的初感染像である伝染性単核症(EBV-IM)1例の急性期および回復期の血液検体、さらに対照として健常成人2例の血液検体を用い、シングルセルシーケンスによる解析を行った。1検体あたり2,203-4,912(中央値2,922)細胞/検体、計33,951細胞の末梢血単核球が解析に進むことが可能であった。全血のウイルス核酸定量検査結果で高ウイルス量を示したEBV-HLH3例全例でEBV関連遺伝子の発現を認める細胞群を抽出することが可能であった。一方、ウイルス量が比較的低値であったEBV-IM例では、EBV関連遺伝子の発現は検出されなかった。シングルセルシーケンスのシーケンスデータから、遺伝子発現パターンに基づいたクラスタリングを行い、各クラスタでの発現遺伝子より所属する細胞分画を特定した。EBV関連遺伝子の発現がみられた細胞群について、その所属する細胞分画が従来法で確認されている感染細胞と一致することを確認した。各細胞分画の細胞数の割合を算出し、比較検討を行った。また、同一系列の細胞分画について遺伝子発現パターンの違いを急性期回復期や症例対照間で比較検討を行った。また、EBV感染の有無による遺伝子発現パターンの違いについても比較検討した。
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