研究課題/領域番号 |
21K20760
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
田鍬 修平 大阪大学, 感染症総合教育研究拠点, 特任准教授(常勤) (20513493)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | フラビウイルス / 蛋白質品質管理 / シャペロン / Hsp70 |
研究実績の概要 |
ウイルス感染細胞において、ウイルス複製部位にリクルートされるシャペロンを生きた細胞内で可視化するシステムの開発を行なった。具体的には14種類のHSP70にGFPを融合させ、Huh7細胞に発現させ、生細胞におけるシャペロンの再編を非侵襲的に観察できるシステムを構築した。その上で、世界中で流行するフラビウイルスを15種、個別に感染させ、その凝集の違いを確認した。一例を挙げると、デングウイルスなどでは感染後36時間程度から核近傍にHsp70の凝集が認められた。一方ジカウイルスや黄熱ウイルスなどでは感染後24時間程度から凝集が認められた。これはウイルス増殖の速度に依存して、シャペロンが凝集することを明らかにした。Hsp70の分子種においても、凝集が認められた種(HSPA1やHspA8)や認められなかった種(HspA12など)もあり、一様に働くと考えられていたHSP70にも種特異性があることが明らかになった。 このシステムはウイルスのみならず他の神経変性疾患などの病態解析にも使える可能性を示唆している。また凝集をアウトプットとしてウイルス感染をモニターできるマーカーとしての可能性を示した。 今後は凝集するHsp70とウイルスの組み合わせに着目し、ウイルス複製における意義を明らかにし、さらにはその阻害剤を模索することで、新しい抗ウイルス薬開発の一助となる研究を行う。さらに、シャペロンと、感染させるウイルスの種類を増やし、その進化学的な意義も検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シャペロンを可視化するシステムとしてHsp70の分子種を全てクローニングできており、さらにウイルス感染により、その変動を追跡することにも成功している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は凝集するHsp70とウイルスの組み合わせに着目し、ウイルス複製における意義を明らかにし、さらにはその阻害剤を模索することで、新しい抗ウイルス薬開発の一助となる研究を行う。さらに、シャペロンと、感染させるウイルスの種類を増やし、その進化学的な意義も検討したい。
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