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2023 年度 実施状況報告書

多剤耐性緑膿菌による人工呼吸器関連肺炎モデルにおけるIL-22の有効性の検討

研究課題

研究課題/領域番号 21K20763
研究機関長崎大学

研究代表者

岩永 直樹  長崎大学, 病院(医学系), 助教 (40912499)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2025-03-31
キーワード薬剤耐性緑膿菌 / 人工呼吸器関連肺炎 / IL-22
研究実績の概要

IL-22は細菌感染に対して抗菌ペプチドや補体の産生促進、組織の再生やタイトジャンクションの強化を通して抗微生物効果を発揮する。ヒトIL-22とヒトIgG2-Fcのfusion proteinであるrecombinant IL-22:Fcは、長い血中半減期と高い肺への浸透性を特徴とするが、薬剤耐性緑膿菌による人工呼吸器関連肺炎への効果について未だ報告はないため、マウスによる人工呼吸器関連肺炎モデルを作成し、その治療効果について検証した。
耐性緑膿菌によるVAPモデル確立に際し、気管内に約3mmのチューブを留置する技術の習得に予想に比べて難渋し、緑膿菌は適度に肺炎を起こす菌量のrangeが極めて狭いため、至適菌量の設定に多くの時間を要した。最終的に、BALB/cマウス(8週齢、オス)に、3mmの栄養チューブを気管内に留置し、多剤耐性緑膿菌の臨床分離株(1126)5×10^6 CFUを気管内投与することでモデルを確立した。感染4時間前に、polyclonal IgG2或いはIL-22:Fc 5μgをそれぞれ腹腔内投与したところ、感染4時間前のIL22:Fc投与群はコントロール群と比較し生存率の改善を認めた(log rank test, p=0.039)。さらに感染24時間後の肺内生菌数はIL22:Fc群で有意に低下し(Mann-Whitney U test, p=0.0093)、肺組織のreal time RT-PCRにより、TnfαやIfnγ発現の低下傾向がみられた。更に感染3時間後に治療したところ、IL22:Fc投与群でも肺内生菌数の抑制効果を認めた(Mann-Whitney U test, p=0.0043)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究実績の概要でも述べたように、モデルの確立に想定以上の時間を要した。モデル確立後は安定してデータが出るようになり、最終的な機序の確認まで行って研究をまとめる予定である。

今後の研究の推進方策

治療群における炎症性サイトカインのdown-regulationを認めているため、今後、肺内炎症細胞の評価のため、肺のDigestion検体をflow cytometryで評価する。また肺組織をH&E染色で比較する。最終的に感染12時間後 (菌量によるバイアスがかからないように、両群のCFUに差がないことを確認する) の肺検体を用いてunbiased Bulk RNA sequencingを行い、RNAの発現を網羅的に解析する。最終的に、抗IL-22抗体の腹腔内投与群で、病態の悪化を認めるかも検討する。

次年度使用額が生じた理由

Il-22の投与量及び投与経路について様々な条件下で検証し、現在の腹腔内投与での治療計画が最良であると判断したが、想定以上の時間を要した。最終的な機序を検証するために、flow cytometryでの炎症細胞の評価と病理検査(HE染色)での評価を要するため、次年度に残りの資金を利用して、最終的な評価を行う予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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