研究課題
CD4陽性T細胞サブセットのうち濾胞ヘルパーT(Tfh)細胞は、二次リンパ組織胚中心内でB細胞機能を調節し、抗原特異的抗体産生機構を司る細胞として注目されている。自己免疫疾患やアレルギー疾患などの免疫難病の背景に抗原特異的抗体の産生異常があるため、病態解明に向けてメモリーTfh細胞に着目した研究が行われているが、その制御機構は未だ不明である。我々の先行研究より、このTfh細胞にBob1転写共役因子が高発現することを同定し(Yamashita K. et al, Eur J Immunol. 2016)、研究代表者はメモリーTfh細胞におけるBob1の機能的意義を検討した。Bob1はTfh細胞の他、抗原特異的抗体産生を行うB2細胞にも発現することから、本研究ではCD4陽性細胞特異的Bob1欠損(Bob1 CD4KO)マウスを新たに作出した。このマウスを用いてTfh細胞の機能を検討したころ、Bob1 CD4KOマウスでは抗原特異的抗体の減少を認めた。さらに、2021年度に樹立したFoxP3(GFP/DTR)-Bob1 CD4KOマウスを用いて、Tfh細胞のうちFoxP3陽性の濾胞制御性T細胞を区別して詳細に検討したところ、Tfh細胞の数的制御や免疫チェックポイント分子発現をBob1が制御している事実が明らかとなった。そして、免疫後後期に発生するメモリーTfh細胞が、FoxP3(GFP/DTR)-Bob1 CD4KOマウスで減少していた。このことからBob1は、Tfh細胞のみならず、メモリーTfh細胞の機能制御を担うことが明らかとなった。これらの結果をまとめ、メモリーTfh細胞におけるBob1の機能的意義を学会にて報告した(The 51th Annual Meeting of The Japanese Society for Immunology, 2022年12月)。
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Journal of Investigative Dermatology
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