研究実績の概要 |
マウス由来の膵癌細胞株(KPC, AK4.4)で、IFNAR1のノックダウンを作成した。マウスの膵臓に移植し、腫瘍の増殖を評価すると、IFNAR1の高発現株であるAK4.4でのみ、腫瘍の増殖抑制効果が認められた。AK4.4のノックダウンでは、STAT3の活性が低下しており、IFNA-STAT3 axisの制御が、腫瘍の増殖を抑制していることが判明した。 次に、IFNAR1の遮断がICBの効果を高めるかどうかをマウス実験で評価した。wild typeとノックダウンの細胞をマウスの膵臓に移植し、ICBの治療を加えて、腫瘍の増殖を評価した。wild typeにおいては、ICB の効果は認められなかったが、IFNAR1ノックダウンの細胞ではICBの効果を認め、IFNA-STAT3の制御がICBの効果を高めることが示された。 最後に、anti-IFNAR1 antibodyを用いて、pharmacological IFNA-STAT3 inhibitionがICBの効果を高めるかを検証した。anti-IFNAR1 antibodyは腫瘍の増殖を抑制し、さらにanti-IFNAR1 antibodyとICBのcombinationは更なる効果をもたらした。過去の文献で、IFNAR1 antibodyがIFNガンマを上昇させ、免疫を賦活化することが報告されており、腫瘍組織内のIFNガンマをPCRで調べると、anti-INFAR1 antibodyがIFNガンマの発現を上昇させていた。このことから、IFNA-STAT3の制御はIFNガンマの発現を高めることにより、腫瘍免疫を賦活化することが示唆された。
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