研究課題
ρ0細胞とはミトコンドリアDNA(mtDNA)障害により、コードされた電子伝達系が抑制された細胞である。ρ0細胞を樹立するためマウスCT26細胞に常法であるEtBr持続投与を行ったところ、mtDNAに変異はみられないが、増殖能、酸素消費量および幹細胞性低下やROS産生増大が確認された。以上よりmtDNAを保持しているがミトコンドリア機能障害がみられた細胞株をpartial ρ0細胞(pρ0)と定義した。またこのpρ0細胞を同系のマウスに腹腔内接種したところ、親株と比べて腫瘍量が少ないにも関わらず炎症メディエーターの発現亢進により著しい悪液質が生じた。さらにpρ0の腫瘍における意義を明らかにするために、抗がん剤によるpρ0の誘導を検討した。CT26にCDDP および5-FU の持続処理を行ったところ、mtDNAの変異はみられなかったものの、ミトコンドリア膜電位の低下および幹細胞性低下とROS産生増大が生じた。また炎症メディエーターのCXCL3およびIL-8の遺伝子発現増加がみられた。以上より、がん細胞は持続的な抗がん剤処理に伴ってpρ0形質を獲得し、宿主に炎症を誘導することが示唆された。さらに、ρ0細胞では薬剤耐性が著しく減弱したのに対し、partial ρ0細胞では薬剤耐性が認められ、その原因として幹細胞性の亢進が示唆された。
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