研究課題
研究活動スタート支援
抗がん剤抵抗性はがん治療における重要な障壁のひとつで、ミトコンドリアの抗がん剤抵抗性への関与が注目される。本研究では、ミトコンドリアDNAに障害を有する癌細胞を樹立し、その性質を解析したところ、部分的な障害を有する部分ρ0細胞では増殖能、酸素消費量および幹細胞性低下やROS産生や抗がん剤耐性の増大とともに炎症促進作用が亢進しており悪液質を惹起した。がん細胞は持続的な抗がん剤処理に伴って部分ρ0形質を獲得したことから、抗がん剤耐性獲得の新たな機序として注目される。
実験病理
化学療法によって誘導されるミトコンドリア障害が抗がん剤抵抗性を誘導することが明らかになった。抗がん剤によるミトコンドリアDNAの障害が抗がん剤耐性をもたらすことは、ほとんどの抗がん剤において一般的に生じ得る抗がん剤耐性獲得機序であり、がん治療において重要な知見と見なされる。今後この新たな耐性抑制の標的を抽出し治療戦略に結びつけることが出来れば、がん化学療法における大きな進展となり、癌患者の予後改善をもたらすと期待される。