研究課題/領域番号 |
21K20823
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
千葉 和治 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (50769627)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 腹腔洗浄液 / リキッドバイオプシー / 膵癌 |
研究実績の概要 |
膵癌(浸潤性膵管癌)は本邦における5年生存率は10%未満である予後不良な難治性癌である。この予後不良である原因として診断時の転移症例の多さ、また治癒切除後の高い再発率が挙げられる。膵癌における転移は主に腹腔内転移(局所、肝、腹膜)と肺転移となっており、これら転移が認められた場合は切除適応外となり全身化学療法の方針となる。膵癌の治療方針は術前の画像診断による本邦の膵癌取扱い規約の切除可能成分類に準じて行われるが、実際の診療では画像上では検出できない転移症例が多く存在する。この画像検出困難な微小病変への新たな診断、予測への探索として液性検体を用いたリキッドバイオプシーが注目されている。 本研究では手術企図症例の膵癌患者の腹腔洗浄液を用いて、腹腔内転移の予測や治療効果判定を行うバイオマーカーを検出し、臨床的検査価値の検索を探索することを目的とし、腹腔洗浄液の採取、腫瘍マーカー測定と保管を行い、腹腔洗浄液上清中の膵癌由来DNAの検出を膵癌患者の90%以上に認めるKRAS遺伝子変異に焦点をあて行う。その結果と腹腔内検索を行なった際の腹膜播種、腹腔洗浄細胞診、肝転移を腹腔内転移とし、その有無を画像診断との比較や、前向きに観察を行うことで測定された腫瘍マーカーや腫瘍由来DNAの有無が腹腔内転移とどの様に関連しているのかを解析することで有用性を確認する。また、血液などの他の体腔液と腹腔洗浄液の比較を行うことで、腹腔内転移と腹腔洗浄液の関連性を解析し特異性を明らかにすることで腹腔洗浄液が腹腔内転移のリキッドバイオプシーとして有用であることを明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究でのサンプル採取は順調に行われており。今後腹腔内転移の予測因子としての解析を行うためには一定期間の前向き観察期間を要す。現状況として一定期間毎に生存率や再発率の解析を継続できており上記判断とした。
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今後の研究の推進方策 |
サンプル採取は順調に完遂しており、今後腹腔内転移への予測因子としての解析を行うためにサンプル採取症例の前向き観察を継続する。また、症例に関して複数回腹腔洗浄液を採取できる際は漏れなく回収が必要であり、同時に腹腔洗浄液が腹膜転移に特異的な因子を含んでいるのかを解析するために可能な範囲で同一症例から他の体腔液を回収する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では対象サンプル採取症例の前向きの観察期間が必要であり、その期間は可能な範囲で長期間の観察期間を要す。現況から翌年に関し、さらに年数を重ねた上での詳細解析を行うことから有意な結果を出せると考えられれる。加えてその結果を踏まえた上で本研究の目的であるリキッドバイオプシーとしての有用性を確認するためにさらなる解析が必要となる場合があり、その際に使用する計画として必要性が生じた。
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