CAMK2Gノックアウトマウスを用いて、骨髄線維症におけるCAMK2Gの意義と治療標的としての可能性について検証を行った。CAMK2Gのノックアウトにより脾腫の改善や白血球数の低下がみられ、骨髄線維症の症状の改善がみられた。このようにCAMK2Gのノックアウトにより骨髄線維症が改善することをin vivoで検証することができた。さらに網羅的遺伝子発現解析を行うことでCAMK2Gの関与するシグナル経路を明らかにすることができる。本研究では骨髄線維症におけるCAMK2Gの意義と治療標的としての可能性について検証を行った。骨髄線維症とCAMK2Gの関連に関する報告は他の研究室からはされておらず、研究は進められていない。CAMK2Gノックアウトマウスを用いた解析は骨髄線維症をCAMK2Gという新しい遺伝子を通して明らかにするこれまで行われてきた研究とは全く異なる視点からの研究となる。骨髄線維症の治療には経口JAK2阻害剤が臨床において使用されている。症状改善効果を示すが、腫瘍細胞を排除はできないため治療効果限定的で予後不良である。また、長期投与による耐性化があり完治は見込めないことや、骨髄抑制などの副作用も問題となる。現在さまざまな方法で治療標的の同定、解析が行われているが、新規治療薬の開発は進んでおらず、本研究は新規治療薬開発において意義のある研究であると考えられる。
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