研究課題/領域番号 |
21K20830
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
才田 優 新潟大学, 医歯学総合病院, 専任助教 (90908930)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 脂肪酸代謝阻害 / 抗腫瘍効果 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、脂肪酸代謝経路阻害が腫瘍細胞と腫瘍微小環境における免疫細胞に与える影響を調査し、免疫チェックポイント阻害薬の効果を増強する可能性を探ることである。申請者らは、まず脂肪酸代謝阻害薬のin vitroでの抗腫瘍効果腫瘍効果を検証した。脂肪酸代謝阻害薬としては、de novo脂肪酸合成経路の代謝酵素の一つであるFASNの阻害薬Orlistatと、脂肪酸酸化経路において脂肪酸を細胞質からミトコンドリアに取り込むCPT-1(カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1)を阻害するEtomoxirを使用した。腫瘍細胞としてはマウス由来のcolon adenocarcinomaであるMC38とmelanomaであるB16.F10を使用した。薬剤各濃度下で腫瘍細胞を培養したところ、Orlistatでわずかに、Etomoxirで著しい増殖抑制効果が確認された。また、Etomoxir曝露後はPD-L1の発現の増加が確認され、免疫チェックポイント阻害薬との併用効果に影響を与える可能性が示唆された。In vivoでの抗腫瘍効果を検証するために、担癌マウスにOrlistatもしくはEtomoxirを投与したところ、Etomoxirで抗腫瘍効果が示唆された。次に、腫瘍局所やリンパ組織における免疫細胞に与える影響を調べるために、腫瘍組織と脾臓をシングルセルにしてフローサイトメトリー解析した。解析数が少なく、腫瘍の成長に個体差もあるためか、T細胞、制御性T細胞、骨髄由来抑制性細胞に関して、コントロール群と治療群との比較で一定した傾向を見いだせていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
担癌マウスモデルにおいて、最適な治療開始時期とアッセイの時期を見極めるのに時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はin vivoでの実験系を確立し、ex vivoの解析で腫瘍微小環境における各種細胞の機能評価を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定から進捗が遅れたことに伴い、物品費、旅費とも支出は減少した。次年度は、計画に沿って研究を進めていく。
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