研究課題/領域番号 |
21K20831
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
高田 智司 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (60594504)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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キーワード | 患者由来腫瘍同所移植 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、未開発の胆道癌の患者由来腫瘍同所移植(Patient Derived tumor Orthotopic Xenograft:以下、PDOX)マウスモデルの確立である。マウス胆管への有効なカテーテルの挿入法の確立と癌細胞を胆管内へ注入することで移植可能かという点についてまず検討を行う方針としている。最終的には患者由来胆道癌細胞をヌードマウス胆管内へ移植し、生着させ腫瘍の進展や悪性度の評価を行うことを目指す。このモデルは個別化医療を目的とした情報集積のツールとして利用可能である。 令和4年度はマイクロカニュレーションシステムを用いてマウス胆管へカニュレーションを行い、細胞外マトリックスゲルに混ぜたヒト胆管細胞株のHUCCT-1を注入し生着の度合いを観察した。動物用エコーVevo2100を用いて週1回胆管および肝臓を観察した。さらにマウス血清CA19-9の測定を行った。HUCCT-1の細胞数や観察期間の調整を行ったが、結果的には生着が得られなかった。そのため、当初の予定に準じて一旦腫瘍をオルガノイド化した後に胆管へ移植を行う方針とした。臨床試験の倫理審査通過後に同意を得られた胆管癌患者の手術検体から腫瘍を採取。採取した腫瘍細胞の一部をsingle cellに処理し、細胞外マトリックスゲル内で培養しオルガノイドとして初代培養を行った。培地の調整を行なった結果、約60%の確率でオルガノイド化することができた。手術検体から採取した腫瘍片のうち、オルガノイド作成に使用したもの以外はマウス皮下に接種し継代して維持するようにしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス胆管へのアプローチ方法、オルガノイド作成など手技はある程度定型化できてきている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度はオルガノイド化した患者由来胆管癌をヌードマウスに同所移植を行い、生着の評価を行う。動物用エコーで胆管の観察を行い、病理組織学的所見を検索する。また、ヌードマウスで生着や評価が難しい場合には、さらに免疫不全の強いNSGマウスや、免疫不全ラットを用いることを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度にコロナ流行などの影響で研究の遅延が起こったことから、予定期間を1年延長することとなった。患者由来胆管癌を初代培養としてオルガノイド化し、ヌードマウスに同所移植を行い、生着の評価を行うこととしている。
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