研究課題/領域番号 |
21K20835
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
笠原 桂子 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (70907956)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 細胞外小胞体 / ターゲットプロテオミクス / がん / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
大腸癌患者において同定された予後予測マーカーの可能性があるタンパク質群Aのなかから、すべてのサンプルで定量値が得られ、予後の良い群において予後の悪い群と比較し有意差をもって発現量の多かったタンパク質群Bを同定した。タンパク質群Bのなかでも、タンパク質Xは、すでに大腸癌の予後に関連することが知られている性別や年齢などと多変量解析を行っても有意差をもって予後に寄与しており、独立した予後予測マーカーの可能性も示唆された。 これにより、研究計画に掲げていた2つの研究のうち「①タンパク質Xの同定と検証」は終了したと判断し、論文作成を進め、現在、投稿中である。 また、試料の提供元として京都大学医学部附属病院クリニカルバイオリソースセンターを想定しているが、同センターでは近年、患者血液だけでなく、手術摘出標本の採取・保管も行うようになってきた。生検や手術摘出標本からオルガノイドやPDXの作成を積極的に進めており、その成果も徐々に明らかとなっている。一部の癌腫についてはオルガノイド樹立率が100%という高い成功率であることから、解析する試料として血液だけでなく、オルガノイドなど汎用性の高いリソースも検討する必要があり、研究の倫理申請については準備段階である。 タンパク質Xの定量に用いる安定同位体表皮気合成ペプチドの合成については、安価に迅速に合成できる可能性も検討しており、解析対象となる試料が揃い次第、速やかに研究が進むよう準備をしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に掲げていた2つのうち1つが終了しており、その点は順調と判断している。 ②タンパク質群Aのバイオマーカーとしての可能性の探索として、当初は京都大学医学部附属病院クリニカルバイオリソースセンターの保有している血液のみを対象に考えていたが、組織標本を最大限に生かす試みから生まれている貴重な試料を、解析対象に追加することの意義は大きいと考え、研究計画の大きな変更ではないものの慎重に検討を重ねている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
解析対象の試料の追加について、予備実験含めて検討を重ね、大腸癌以外の癌腫での測定・解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は、予定していた実験が想定よりも進んでいなかったが、本年度においては倫理委員会で研究計画が承認され次第、試料の前処理や測定を開始する予定である。
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