研究課題/領域番号 |
21K20843
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
深澤 和也 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教 (70907443)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | グリオブラストーマ / 難治性疾患 / がん幹細胞 / Erk5 / 微小環境 |
研究実績の概要 |
膠芽腫(Glioblastoma=GBM)は、グリオーマの中で最も悪性度が高く、あらゆるがんにおいて最も予後不良の中枢神経系腫瘍であり、5年生存率は10%以下である。有効な治療薬の欠如により、約半世紀もの間、集学的な治療を以ってしても著明な予後の改善が認められていない。GBMの根本的な治療法開発が急務である。 近年、GBMの発症・進展において、グリオーマ幹細胞(Glioma stem cell=GSC)の幹細胞性維持機構が重要な役割を担うことが報告されている。また、栄養環境シグナル分子 (=アミノ酸、グルコース、成長因子)や低酸素環境などの微小環境シグナルが、がん幹細胞の幹細胞性を制御していることが明らかにされている。 本研究では「微小環境シグナル統合因子Erk5」による、「がん幹細胞制御機構を解明」することで、GBMの革新的治療法の開発基盤の確立を目指す。 申請者は、大規模臨床データを用いた解析から、①Erk5がGBM組織において高発現すること、②Erk5の高発現がGBMの予後不良と相関することを明らかにしている。 初年度は、GSCにおけるErk5の機能解明を実施した。in vitro実験において、遺伝学的あるいは薬理学的にErk5の機能を阻害したところ、GSCの自己複製能が有意に低下することを見出した。さらに、ヌードマウスを用いたin vivo解析において、GSCのErk5阻害により、生存期間が有意に延長することが明らかとなった。以上の結果から、Erk5が新規GSC制御因子である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、GSCを用いたin vitroおよびin vivo解析において、Erk5が新規GSC制御因子である可能性が示唆された。したがって、初年度の当初計画をおおむね達成したことから「おおむね順調に進展している」と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、Erk5がどのようなシグナルを介して、GSCを制御しているのかを明らかにしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬・器具・実験動物の調達方法の工夫により、当初計画より経費の節約が可能になったため、次年度使用額が生じた。 未使用額については、本年度に得られた知見に関する再現実験、RNA-seqによるErk5下流のシグナル解析、学会・シンポジウムでの発表に係る経費に充てる予定である。
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