研究実績の概要 |
本研究の目的は、、転写因子HOXD9を標的とした子宮頸癌の新規治療を開発することであり、その手法として核酸医薬品、あるいは既存薬ライブラリーの検討を実施した。まず、HPV16型陽性子宮頸癌細胞株であるSiHa, SKG3a, SKG3bを用いて、siRNAによるHOXD9のノックアウトを行い、遺伝子発現に与える影響を調べた。その結果、いずれの細胞株においてもHOXD9 mRNAの発現抑制が確認されたが、レンチウイルスを用いたshRNAによるノックダウンを行った先行研究と比較すると、発現抑制の効果は限定的であり、細胞増殖の有意な抑制は確認できなかった。 一方で、臨床で他の疾患への使用実績があり、基礎研究においてはHOX遺伝子群の発現に影響されることが知られている既存薬Xを用いて、上記と同様の検討を行った。既存薬X処理により、いずれの細胞株においてもHOXD9 mRNAの発現レベルは濃度依存的に上昇したが、細胞増殖の顕著な抑制が確認された。また、HOXD9 mRNAとは反比例して、濃度依存的なHPV-E6/E7遺伝子のmRNA発現が顕著に低下しており、これは既存薬XがHOXD9の翻訳阻害やHPV初期プロモーターへの結合阻害に関与している可能性があることを示唆している。
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